完成は28年後!? 大阪“東のターミナル”京橋駅「地平ホームの地下化」なぜいま動き出す? 事業費“2.6倍”の理由も聞いた
]JR西日本京橋駅の学研都市線・JR東西線地平ホームを地下化する計画が再び動き出しました。完成は2053年度、壮大な事業となりそうです。凍結されていた計画がなぜいま、復活したのでしょうか。
いろいろ“ムリ!”で止めた過去
2000年代当時は、駅の設置場所も未決定でした。当初案では現在の地平ホームの直下に新駅を作ろうとしましたが莫大な工費がかかります。別案として現案と同じ市道片町茨田線の下で地下化するプランもありました。施工法や事業費、用地取得、乗り換え客の動線、大規模埋設物との調整などが検討されましたが、方針は固まりませんでした。

また、都市計画道路の市道「玉造筋線(都島阿倍野線)」の扱いも悩みの種でした。玉造筋線は大阪環状線の西側を南北に結ぶ幹線道路で、現在、大阪城公園駅北側の寝屋川から京橋駅地平ホームを超え、国道1号京橋西交差点までの区間700mが未着手です。予定地の一部は駐輪場や北口広場として活用されています。
ただ、この道路の予定地はJR京橋駅北口と京阪京橋駅との乗り換え通路を横切る形になります。毎日数十万人の乗降客が行き交っていることを考えると、地平道路での整備はできません。高架道路、もしくは地下道路にする案もありましたが、設計面でも環境面でも無理がありました。
代わりに、京橋地区と国道1号を結ぶルートとして、大阪環状線の東側を南北に結ぶ市道「豊里矢田線」の整備が期待されていました。京橋駅地平ホームの東側にある新喜多踏切で交差しているのが現道で、こちらも都市計画道路としては寝屋川と学研都市線を挟む約500mが未完です。用地買収が完了しておらず、現在、鴫野橋の部分は北向き1車線の一方通行となっています。
当初、地下化1.3kmの事業費は400億円とされました。ただ、大都市の都心部で、かつ地下線であるJR東西線との接続を考えると難工事は必至で、そんな予算で完成するはずはありません。こうして、大阪市は、連続立体交差事業の都市計画決定すらできないまま長年放置し、2014年度に事業休止としました。
それがなぜ、このタイミングで復活したのでしょうか。
機が熟した? ついに「お鉢」が回る
担当の大阪市建設局道路河川部に聞くと、「大阪城公園周辺地域まちづくり方針」(2025年)で、京橋駅周辺における地域分断の解消や駅機能の集約化の方針が示されたのがきっかけとのことです。京橋・大阪城公園地区は2017年に国の再生緊急整備地域に指定されており、まちづくりと再開発計画の具体化が急がれています。
また、大阪市の連続立体交差事業で懸案となっていたJR東海道線支線の大阪駅地下ホーム(うめきたホーム)が完成し、阪急淡路駅周辺の高架化も目途がついたことで、次の候補だった京橋駅がクローズアップされたのです。
課題の一つだった京橋駅北口を通過する市道玉造筋線計画については、「まちづくり方針」で「人中心の広場を備えた駅前空間」「歩行者ネットワーク」と位置づけられています。図面では曖昧な描き方ですが、クルマの走らない歩行者中心の道路と想定しているのでしょう。新駅の真上で予定されていた市道片町茨田線との平面交差も見送られる公算です。
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