「皿回らないやつ」もやめる 米軍の方向転換で自衛隊の早期警戒機どうなる? もう一つの「2035年問題」となる可能性
自衛隊は「次期戦闘機」が完成するとみられる2035年頃までに、解決すべきもう一つの問題を抱えています。それは早期警戒管制機の更新。現代の防空に不可欠な装備ですが、存在自体が曲がり角に差し掛かっているかもしれません。
結局、他国はどうするつもりなのか
イギリス空軍はE-3の後継機としてE-7の導入を決定しましたが、フランス航空宇宙軍は2025年6月にE-3の後継機として、サーブの開発した早期警戒機「グローバルアイ」を導入する方針を示しています。
前に述べたヘグセス国防長官は、「E-7は現代の戦場では生存不可能」と述べています。これは早期警戒(管制)機のような付加価値の高い航空機は真っ先に敵の攻撃の対象となる可能性が高く、旅客機ベースで非武装のE-7では生き残ることが困難であることを意味しているものと思います。
フランスが導入するグローバルアイも非武装機ですが、搭載されている電子戦システム「AREXIS」は、敵性航空機のレーダーを無力化するほか、電子的に自機や味方航空機の幻影を作り出す能力を持つと言われており、従来の早期警戒(管制)機に比べて生存性が大幅に向上しています。
なお、将来における先進諸国の空軍の状況認識能力に関しては、情報収集衛星やグローバルアイのような、自機の生存性を向上させた早期警戒(管制)機、レーダーを搭載するUAS(無人航空機システム)などを組み合わせたシステムによって成り立っていくと筆者は思います。
これまで、E-767の後継機は順当に行けばE-7になる可能性が高かったと思いますが、同盟国であり、またお手本でもあるアメリカ空軍が方針を転換した以上、単なるE-767の後継機ではなく、状況認識能力と味方の生存性を高めるシステムの導入を検討していくべき状況になりつつあります。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
誤:今後E-3の能力向上改修は行われない可能性は無い
正:今後E-3の能力向上改修は行われる可能性は無い
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