「カシオペア」26年の歴史に幕!「サンライズ」とほぼ同期 寝台特急を“非日常”にした立役者

JR東日本の寝台列車「カシオペア」が引退を迎えます。寝台特急「北斗星」の役割の一部を担う形でデビューし、北海道新幹線と入れ替わる形で一線を退いた列車ですが、後の鉄道に計り知れない影響を与えました。

同時期に生まれた「サンライズ」との違い

 一方、「カシオペア」とやや考えの異なる新型の寝台列車も同時期に登場しています。285系電車「サンライズエクスプレス」です。「カシオペア」が登場する前年の1998(平成10)年、「サンライズ瀬戸」(東京~高松)と「サンライズ出雲」(東京~出雲市)として運行を開始しました。

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東京駅で発車を待つ「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」の285系電車(柴田東吾撮影)

「サンライズ」は同じ区間の寝台特急「瀬戸」「出雲」を置き換える形で設定され、285系が新造されました。従来の客車から電車とすることで効率化を図っています。客室は個室寝台を主体としつつ、座席扱いの「ノビノビ座席」も設定。食堂車は連結せず、トイレやシャワールームは共用とし、フリースペースのラウンジも最小限の設備に留めています。

「カシオペア」とは客室設備の方向性が異なりますが、「カシオペア」が上野から札幌まで17時間近くかけて走っていたのに対し、「サンライズ瀬戸」は9時間、「サンライズ出雲」は12時間です。運行時間の長い「カシオペア」は、「サンライズ」よりも居住性を優先させて旅を楽しめるよう設計されているといえます。

 なお、「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」は、寝台特急「瀬戸」と、2往復あった「出雲」のうち1往復の置き換えが行われました。

 一方、「カシオペア」は3往復あった「北斗星」のうち1往復が置き換わっただけで、「カシオペア」と「北斗星」が共存する時代が続きました。「カシオペア」は1編成しかないため、上野発は火・金・日曜、札幌発は月・水・土曜の運転が多く、繁忙期は隔日に運転日が設定されていました。

「カシオペア」は2人用の個室ばかりでしたが、「北斗星」は個室を含めて1人で利用できる設備が多く、利用者の棲み分けができていたのかもしれません。筆者(柴田東吾:鉄道趣味ライター)も、鉄道を利用して首都圏から北海道へ数多くの旅行をしてきましたが、1人旅ゆえに「北斗星」を多く利用していました。

 北海道新幹線の工事が進んだことで、「北斗星」は2008(平成20)年3月のダイヤ改正で1往復だけに減り、2015(平成27)年には運行を終了しています。「カシオペア」も2016(平成28)年3月26日限りで臨時寝台特急としての運行を終え、以後はツアー列車として使われてきました。

 ツアー列車となった後も2017(平成29)年まで北海道への乗り入れが行われます。青函トンネル付近では北海道新幹線となった線路を走行し、青函トンネルの区間ではEH800形電気機関車、北海道内ではDF200形ディーゼル機関車と、それぞれJR貨物の機関車が牽引(けんいん)を担当したことが特色でした。

【どっち派でしたか?】これが「カシオペア」とともに走った寝台特急「北斗星」です(写真)

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