「カシオペア」26年の歴史に幕!「サンライズ」とほぼ同期 寝台特急を“非日常”にした立役者
JR東日本の寝台列車「カシオペア」が引退を迎えます。寝台特急「北斗星」の役割の一部を担う形でデビューし、北海道新幹線と入れ替わる形で一線を退いた列車ですが、後の鉄道に計り知れない影響を与えました。
「カシオペア」の後継車両
「カシオペア」が定期運用を終えツアー列車として使用する一方で、JR東日本はクルーズ列車「TRAIN SUITE(トランスイート)四季島」を2017(平成29)年にデビューさせます。ツアーの内容によっては首都圏から北海道方面への列車として「カシオペア」の後を受ける形で運行されています。
ちなみに、JR西日本では「トワイライトエクスプレス」の車両が2016(平成28)年までツアー列車として同社管内で運行され、翌年に運行を開始したクルーズ列車「TWILIGHT EXPRESS瑞風」に引き継がれています。
「TRAIN SUITE四季島」「TWILIGHT EXPRESS瑞風」とも、「カシオペア」よりも客室設備が高級になり、専属スタッフによるサービスが行われることで、1回の旅行代金は最低でも数十万円となる高額に設定されています。
一方でJR西日本は、気軽に鉄道の旅を楽しめる長距離列車として「WEST EXPRESS (ウエストエクスプレス)銀河を投入し、2020年から同社管内で特急列車として運行を開始しています。期間に応じて運転区間を変えるなど、運行の方法は「TWILIGHT EXPRESS瑞風」に似ていますが、運賃・料金はクルーズ列車よりも廉価に設定され、食堂車をはじめとした供食のサービスはありません。
車両は既存の電車を改造したもので、客室は個室や座席を組み合わせた斬新としたものとした一方で、フリースペースには「明星」や「彗星」といった過去に運転されていた寝台特急の名前が用いられています。
また、JR東日本も2027年に新たな夜行特急列車の運行を始める予定です。これも、既存の特急形車両を改造したもので、全室がグリーン車の個室タイプの座席として設定され、フリースペースのラウンジが設けられる一方、食堂車は設定されない計画です。
「移動を楽しく、快適・便利に」の実現を目指したもので、「TRAIN SUITE四季島」のような贅沢な構造とはならず、「WEST EXPRESS銀河」の東日本版ともいえそうです。外観の色は「WEST EXPRESS銀河」と同じ青系で、かつての寝台特急(ブルートレイン)の青色が継承されています。
「カシオペア」が取り入れた客室設備やサービスを直接受け継いだ車両はありませんが、クルーズ列車の「TRAIN SUITE四季島」が“高級路線の寝台列車”を引き継いでいます。また、「カシオペア」が採用した全個室のスタイルは新たな夜行特急列車にも採用され、手頃な価格設定の列車として引き継がれたといえそうです。
Writer: 柴田東吾(鉄道趣味ライター)
1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。
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