怪しいほどカッコ良かった“日本初のメーター” 新技術ぎっしり革命車「ソアラ」なぜ人知れず消えてしまったのか?
日本初のデジタルメーターを採用した「ソアラ」は、トヨタが海外市場を意識し、新機軸を多く採用して登場しました。後年はレクサスブランドに組み込まれたものの、その戦略故に支持を失っていった歴史も持ち合わせます。
失われた「ソアラらしさ」
3代目ソアラの販売台数は、10年間で5万台ほどにとどまりました。往年のソアラファンの多くが、ここからの挽回を期待したことと思いますが、2001年のフルモデルチェンジでは、再びレクサスとの関係が深まる展開になります。
この新型は、電動式ハードトップを備えたコンバーチブルモデルとして登場。洗練されたカッコよさもありましたが、デザインは初代や2代目とはさらにかけ離れた、丸みを帯びたものに。そして、ソアラらしさを感じさせたデジタルメーターは、ついに廃止になりました。
その結果、日本国内ではソアラの名で2005年まで販売されたものの、海外向けモデル名である「レクサスSC」に国内向けモデルも統一され、ソアラの名はここで消滅しました。なお、「レクサスSC」としても、2010年には生産終了。こうして、ソアラというモデルは誕生からわずか30年を待たずして、完全に歴史の幕を下ろしました。
当初、トヨタの海外戦略を一身に背負い、センセーショナルな登場をしたソアラですが、皮肉なことに、その海外戦略に翻弄される形で、最終的には自らが姿を消すことになった、そんなふうにも映ります。
多くのクルマが避けて通れない宿命とはわかっていますが、遠い記憶の中で、今は亡き父が嬉しそうに乗って帰ってきた初代ソアラの姿と、初めて目にしたデジタルメーターの記憶は今も筆者の心に強く残っています。だからこそ、どうしても初期型のソアラに特別な思いを抱かずにはいられないのです。
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。
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