怪しいほどカッコ良かった“日本初のメーター” 新技術ぎっしり革命車「ソアラ」なぜ人知れず消えてしまったのか?
日本初のデジタルメーターを採用した「ソアラ」は、トヨタが海外市場を意識し、新機軸を多く採用して登場しました。後年はレクサスブランドに組み込まれたものの、その戦略故に支持を失っていった歴史も持ち合わせます。
初めて目にするデジタルメーターに不信感…
1964年の東京オリンピック直後から進み始めた日本のモータリゼーション。1970年代後半から1980年代中半にかけて、その勢いはピークに達します。この時代、筆者の父は仕事柄もあり、毎年のようにクルマを乗り換えていました。その中でも、幼き日の筆者の記憶に強く残るクルマが、父がある日突然買ってきた、見慣れないブロンズカラーのセダン、初代ソアラでした。

どうしてソアラの記憶が強く残っているかというと、日本初搭載となったデジタルメーターを目にしたからです。正式名称は「エレクトロニック・ディスプレイメーター」。それまで一般的だった円形のアナログメーターに代わって、突如として現れたデジタルメーターを見て、幼心に「誤差が出そうな気がする」と思った記憶があります。
当時は、まだデジタルよりもアナログのほうが信頼されていた時代で、みるみる変わるデジタルの数字(速度計)と、エンジンの回転数を示すグラフ(タコメーター)を前に「カッコいいけれど、なんだか怪しい」と思ったというわけです。
しかし、後になって知ったことですが、ソアラのデジタルメーターはトヨタの先進的な開発力を示すものとして注目を浴び、後のマークIIやクラウン、セリカ、スープラなどの他の車種にもデジタルメーターが採用されていきました。特に1980年代のトヨタ車には数多く装備されました。
ソアラといえば、「デジタルメーターの初搭載車」として語られることが多いですが、実はそれ以外にも多くの最新機能を持ち合わせたモデルでもありました。
デジタル面では、TCCS(電子制御システム)、ECT(電子制御式オートマチックトランスミッション)、TEMS(トヨタ電子制御サスペンション)などのシステムを採用。エアサスペンションを採用したのもソアラからで、トヨタの先進的な技術力を象徴するイメージリーダーとしての役割を担っていたモデルでもありました。
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