歴史を変えた“超ビッグ5ナンバー車” 「ステップワゴン」もうすぐ30年目 何がそんなにスゴかったのか
自家用車に、アウトドアやレジャーなどのシーンでも楽しめる要素を――1980年代に各社がこぞってRV開発を進めた中、出遅れてしまったのがホンダでした。しかし1996年に登場させたステップワゴンは、モデルチェンジを経て大好評を博すこととなるのです。
RV開発の後発メーカー、ホンダが打ち出した新提案
一時期まで日本でバンと言えば、商用車のイメージが強くありました。しかし1980年代中盤になると、自家用車を単に「移動するための乗りもの」として使うのではなく、アウトドアやレジャーなどでも楽しみたいというニーズが高まりました。ワゴンやクロスカントリー4WDなど、大人数で楽しめて積載性も高いクルマ(RV)が人気となったのです。
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特に1980年代に象徴的だったモデルが三菱のパジェロ、トヨタのハイラックス、スバルのレガシィツーリングワゴンなど。こういった中でRV開発に出遅れたのがホンダでした。
時流に伴いホンダもRV開発を迫られたわけですが、ブームの中では後発です。従来のワゴンやクロスカントリー車の難点に注目し、ホンダならではの機能性、斬新性をもったRV開発に取り組むことになりました。
この時代までのミニバンの多くはエンジンの真上に運転席がある、いわゆるキャブオーバータイプのFRレイアウト。確かに「大人数が乗れ、積載性も高いクルマ」ではあったものの、その乗り心地は、セダンなどのクルマと比べれば劣っていたと言わざるを得ませんでした。
ホンダはこの盲点をつき、いよいよRVで勝負をかけます。そのコンセプトは「クリエイティブ・ムーバー(生活創造車)」というもの。当時のリリースには以下のような宣言が掲げられていました。
「私たち開発チームのメンバーは、実に欲張りな意見を出し合いました。そして、ホンダの新たなクルマづくり“クリエイティブ・ムーバー(生活創造車)”の考え方をこめて方向を定めました。それは個々のライフスタイルを大切にしたクルマ選びを志方する方たちに応える、『大勢が乗れて空間の使い勝手に優れながら、あくまでも乗用車としての使用に違和感のないクルマ』」
この言葉にウソはなく、ホンダはキャブオーバーではない、乗り心地の良いFFでの「大人数が乗れ、積載性も高いクルマ」を実現します。第一弾が1994(平成6)年発売のオデッセイ、第二弾が1995(平成7)年発売のCR-V、そして第三弾が1996(平成8)年発売のステップワゴンでした。
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