「山形新幹線」終わりの見えない“折返し運転”の深刻な影響とは? 東北新幹線も混雑 苦境「つばさ」のやり繰りを見た
山形新幹線の新型E8系が不具合により単独運行を取りやめているため、「つばさ」は福島駅で折り返し運転を行っています。東北新幹線の「やまびこ」と乗り継ぐ福島駅はどのような状況と運用なのか、現地を見てきました。
なぜ「つばさ」が折り返すのか?
山形新幹線「つばさ」は、E3系が使われてきましたが、2024年に新型のE8系が就役してE3系の置き換えが進められています。しかし今回は、E8系の単独運行を当面見合わせることになり、「つばさ」はE3系だけが使用されています。
E8系の投入にあわせて、山形新幹線用のE3系は廃車が進み数を減らしていました。このため、残されたE3系だけで「つばさ」をやり繰りすることになり、「つばさ」の運転区間の縮小(東北新幹線への直通中止)や一部の列車の運休を余儀なくされているのです。
また、「つばさ」の一部列車は東京~福島間で単独運行を行っていましたが、「つばさ」が福島駅で折り返しとなったため、東京~仙台間で「やまびこ」を臨時に走らせて、途中の福島で「つばさ」と接続させることで東京~山形・新庄間の足を確保しています。
先の通り、原則として「つばさ」は福島駅の14番線を発着していますが、2025年7月現在の臨時ダイヤでは、朝の上り福島行き「つばさ122号」のみ、福島駅の在来線ホームに到着する形で運転されています。
東北新幹線にも影響
当面、単独運行が不可能となったE8系は、一部が東北新幹線の「やまびこ」でも使用されています。E5系の10両編成と連結し、17両編成で運行されているのです。
しかし現在、「つばさ」が福島駅で折り返すことになったため、一部の「やまびこ」は短い10両編成で運転されており、混雑が目立つ列車も出てきています。筆者(柴田東吾:鉄道趣味ライター)が乗車した「やまびこ」も10両編成でしたが、途中駅で座席が埋まってしまい、デッキ(車両の出入口)や通路に立つ乗客も見られました。
2025年6月末の段階で、E8系で不具合が発生した箇所は特定されているものの、不具合が発生するに至った原因が解明されていない状況です。このため、一部の「つばさ」を除き、福島駅での乗り換えが続く見込みです。
Writer: 柴田東吾(鉄道趣味ライター)
1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。
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