通学はもう「命がけ」 酷暑を数キロ、ぐったりする子ども… 町長が“公用車で送迎”を始めた切迫した理由「全国的な課題だ」

勢いを増す猛暑が暮らしを変えつつあります。岐阜県内の小学校では公用車による下校が始まりました。猛暑の中を子供に付き添った新町長の“体感”支援。この夏を乗り切らなければ、という危機感が議会も動かしました。

猛暑と時代は、小学生の登下校を地域で支えることも難しくする

 ではなぜ「公用車」で通学支援を行う必要があるのでしょうか。

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川辺町役場(画像:川辺町)

 登下校時の子どもの安全は保護者の責任なので、全国的に遠距離通学の問題を解決する場合にも、まず保護者の負担ですべきという意見がでます。また、保育で暑さに慣れるための時間が設けられることもあり、学童の登下校の送迎支援には慎重な意見もあります。

 しかし、それも簡単ではありません。木下町長は話します。

「家が遠い子どもは、保護者が迎えに来ることもあります。そこに他の子どもを同乗させることに、ひとつのハードルがあります。真っ先に浮かぶのは、事故が起きたらどうするという安全と補償面ですが、それよりも日常面では、本来いっしょに下校するはずだった遠距離通学をする児童が、ただでさえ少ない人数なのに、よけいに少人数になって下校しなければならないことです」

 地域で支えることを考える中でも課題がありました。

「見守り隊というパトロールというか、実際に付き添っていただける方もみえる。ただ、そういった方も高齢化してきている。夏場、子供もさることながら、高齢の方が付き添っていただけることも心配だなっていうのはあります」(木下町長)

 2025年6月、屋外などで働く人たちを対象にして労働安全規則が改正され、連続1時間以上または1日4時間の以上作業を行う場合の熱中症対策が罰則付きで義務化されました。その対策は、労働者や高齢者の大人中心で十分なのでしょうか。遠距離通学をする小さな子どもたちの中には、30分以上、1時間近く歩き続ける場合もあります。

 下校支援が始まった7月7日、同じ岐阜県多治見市では14時20分までに、今年の全国最高気温38.8度を観測しました。

「川辺町としては、重大な問題だととらえて対策しました。公用車による下校は、できるところをまずやったということで試行期間を兼ねています。この結果も踏まえ、どれだけ拡大していけるか。来年度以降に生かしていきます」

 そのうえで、「いろんな自治体で考えていかなければならない全国的な課題だと思います」と木下町長は訴えました。

【どこ…?】これが「小学生を公用車で送迎する」自治体です(地図/写真)

Writer:

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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コメント

1件のコメント

  1. 「公用車」だから問題無いやん。

    市長の私有車だったら利権絡むけどさ。

    何をズレた記事書いてるんだか