「ETC料金いただきません」通信障害時の“新対応”、NEXCOついにスタート 「こりゃ無料開放だな」利用者はどう見分ける?

NEXCO中日本の大規模ETC障害で注目された「会社の責任」による料金支払い義務の是非。特措法(道路整備特別措置法)告示の改正が施行され、利用者が料金聴取に応じる必要がない場合が、正式に位置付けられました。

特措法10番目の「料金を徴収しない車両」に

 2025年4月6日に発生し、利用車約96万台に影響を与えた中日本高速の大規模ETCシステム障害。「広域的なETCシステム障害発生時の危機管理検討委員会」(中村英樹名古屋大学大学院教授)が6月23日に報告書をまとめ、「お客さまにご不便をお掛けしないための対応事項」を定めた新しい危機管理がスタートしました。

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通信障害時の影響を受けた車両は料金を徴収しない運用がスタートした。写真はイメージ(画像:写真AC)。

 従来の供用約款には、ETCシステム障害において会社の責任を認めていなかったため、今回の大規模障害でも利用車に対して通行料金の支払いが要請されました。これは後日清算に応じた利用車に二重請求をする事態に陥ったため請求を放棄する形で決着しましたが、この教訓から特措法(道路整備特別措置法)の「料金を徴収しない車両を定める告示」の10番目に、「ETCシステム障害の影響を受けた車両」が付け加えられることになりました。2025年7月10日告示、同日、施行されました。

 その内容は以下の通りです。

《無線の交信を伴うETCシステムに障害が発生したこと等により、円滑な料金の徴収が困難となった車両で会社等又は有料道路管理者が料金を徴収することが著しく不適当であると認められるもの》

 警察、救急などの緊急車両、災害復旧車両などと並んで、特措法告示に「ETCシステム障害の影響を受けた車両」が明文化されたことで、道路構造物の損傷以外でも利用車と会社の関係が明確になりました。

“通信障害”以外も対象に

 特措法に示されたETC障害は通信障害に限らず、停電、ケーブルの断線などの障害も広く含まれます。

 危機管理検討委員会は、システム障害時の高速道路会社の対応マニュアルを策定。一定数の障害が発生した場合に、高速道路会社社長をトップとする「非常体制」に移行して、復旧を目指すことが定められました。

 非常体制への移行は、料金決済を求めるETC車のカード利用可否をシステムが判断する場合に、「同一支社管内の2か所以上の料金所で」「30分以内に10台以上の異常が発生した場合」など、いくつかの基準を定めて自動的に移行することになっています。

【え…!】これが「高速料金払わなくていい場面」です(画像で見る)

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