ざっと1人30億円!「戦闘機で最も高価な構成品」とは? 維持費だけでも年間6億円「手塩にかけていますから」

戦闘機を構成するものの中で、最も高額といえるのがパイロット、すなわち操縦士です。一人前のパイロットを育て上げるには1000飛行時間が必要で、かつ毎年、相応の訓練で技量を維持することが必須です。

パイロット1人を養成するには10000飛行時間が必要

 戦闘機の部品の中で最も高価なものは何でしょうか。

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飛行教導団(アグレッサー)のF-15「イーグル」飛行訓練の「敵役」となることに特化した飛行隊である(関 賢太郎撮影)。

 答えはエンジンです。機種にもよりますがその単価は10億円以上します。しかし、考え方を変えるとエンジンよりも高価であると言えるのが1つだけ存在します。それは戦闘機の運用で欠かすことができない「パイロット」です。

 パイロット、また機種によっては後部座席に搭乗する「兵装システム士官」についても、両者とも国家が数年の歳月と数十億円の予算を投じて育成する、極めて稀少な「構成品」であると見なすことができるでしょう。

 パイロットの育成にかかる費用は、桁違いです。一般的に1人のパイロット候補生が一人前と見なされるようになるには、最低でも1000時間の飛行訓練が必要と言われます。また、その技量を維持するには1人あたり年間200飛行時間の訓練が求められます。

 ここで単純な計算をしてみましょう。航空自衛隊の国産戦闘機F-2はその購入費用から燃料費、整備費、部品交換、地上支援、人件費、すべてを含めた1飛行時間あたりの経費が約300万円と見積もられています。つまり1000時間の訓練では約30億円。維持のための年間200時間なら、約6億円が毎年投じられることになるのです(ただし戦闘機パイロットとなる以前の500飛行時間については比較的安価な練習機が使える)。

 戦闘機は平時のスクランブル発進を含む、実戦に投入するための兵器ではありますが、その運用寿命(F-2であれば6000飛行時間)のなかで実戦へ投入される時間はほんのわずかでしかありません。

 これは戦争中の国においても同様で、戦闘機の総飛行時間のうち、そのほとんどは訓練飛行のために消費されます。端的に表現するなら、戦闘機とはパイロットを育成するために保有し高額なコストを支払っているとも言えるでしょう。

【コース複数あるけど】長え! これが自衛隊の戦闘機パイロットの道のり(画像)

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