化け物みたいな巨砲を積む「動く要塞」ドイツが生んだ“モンスタータンク” どう使った?
第2次世界大戦中の戦車では比較的、名の知られた「ティーガーI」重戦車ですが、その派生型にロケット弾を撃つ「シュトルムティーガー」があります。この車両はどんな使い方をするのでしょう。
戦艦と同じ口径の巨砲を搭載
第2次世界大戦中、ドイツは様々な戦闘車両を開発しました。そのなかに「ティーガー(タイガー)I」重戦車の車体を使って作られた異形の自走砲「シュトルムティーガー」というのがあります。

「シュトルムティーガー」のいちばんの特徴は、搭載する巨大な砲でしょう。その口径(砲身内径)は380mmもあります。一方で、砲身はきわめて短く、2.5mしかありません。
ちなみにドイツ海軍が第2次世界大戦で使用したビスマルク級戦艦の主砲が38cm連装砲です。こちらは砲身長が17.86mあるため一概に比較はできませんが、単純に砲口の大きさだけでいえば、同レベルだったといえるでしょう。
2025年現在、世界で広く使われている戦車砲は105mm砲や120mm砲、125mm砲などであり、それらの3倍も大きい口径というのはかなり異様です。
ただし、この380mm砲は戦車砲ではなく、ロケット弾を発射するものでした。ドイツでは臼砲に分類していましたが、「臼砲」とは本来、射程よりも破壊力に比重を置いた短砲身の大口径曲射砲のことで、撃ち出すのは砲弾であり、ロケット弾ではありません。「シュトルムティーガー」の380mm砲は正確にはロケット砲ではあるものの、見た目は臼砲のようです。
他方で、「シュトルムティーガー」の380mm砲はロケット弾を撃ち出すため、りゅう弾砲やカノン砲のように装薬(発射薬)を必要とせず、射程は通常の臼砲よりも長いというメリットをあわせ持っていました。
このように、特殊な砲を搭載する「シュトルムティーガー」は、いったい何のために作られたのでしょう。
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