その橋、“人間用”じゃありません! 高速道路をまたぐ立派な橋やトンネルで“分断”防ぐ 海外じゃレベル違った!?

高速道路の建設による地域の分断に配慮して、高速道路を横断する橋やアンダーパスなどが設けられることがありますが、これは“ヒト”だけに限りません。動物のためにも立派な横断路が設けられます。ただ海外では一段レベルが違いました。

「鳥用」もあります→飛べるのに!?

 こうした自然環境に配慮した高速道路の構造は、地上に住む動物だけを対象とするものではありません。じつは空を飛ぶ鳥に対しても、高速道路がリスクとなる場合があります。

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猛禽類の飛来環境に配慮したネットのシェルター。圏央道で(ドライブレコーダー)

 鳥は常に飛び続けているわけではなく、ときに樹上や地上に降りて羽を休めます。このとき、降りた場所がたまたま道路であるというケースは十分に考えられます。

 もしこれが一般道であれば、近づいてくるクルマに気付いて飛び立ったり、逆にクルマが鳥に気付いてブレーキを踏み、事故を回避することができるでしょう。しかしクルマの速度域が高い高速道路では、そうした双方の事故からの回避行動が間に合わず、事故のリスクが大きく高まるのです。

 そのため、とくに大型の猛禽類が住むエリアでは、高速道路の上を金属製などのネットで覆い、鳥が道路上に降りないよう工夫しているところがあります。あたかも網のトンネルのように見えるため、高速道路を走行するドライバーからは「なぜこんなところにネットが?」と思われるでしょうが、じつはそんな深い理由があるのです。

「レベルが違う動物対策道路」今夏開通

 海外では、費用、スケールとも、ちょっと桁外れな野生動物対策を行う例もあります。

 タイの運輸省地方道路局は、ラヨーン県のカオチャマオ・カオウォン国立公園とチャンタブリ県のカオアンルーナイ自然保護区を通過する国道4060号について、この区間を橋長525mと155mの二つの高架橋として整備し、2025年7月に交通開放しました。

 ここでは「アニマルパスウェイ」を設けるどころか、“本線”をまるまる高架にして、動物のくぐり抜けを可能としたのです。往復2車線の橋の幅員は11mで、桁下の高さは10mと、かなりの高さがあります。

 これはゾウの通行を想定したもの。じつはこの地域には野生のゾウが多く住んでおり、ゾウとクルマとの衝突事故は、双方にとって大きなリスクとなっています。

 小型の動物であれば、その動物が道路を越えるために使える簡易な高架橋などを作り、かつ道路の両側を柵で覆うことで、一定程度の誘導は可能でしょう。しかしゾウが相手では高架橋も本格的なものが必要ですし、そもそも自分の力で柵を倒すこともたやすいゾウが、大人しく高架橋を渡ってくれるとは限りません。そのためゾウとドライバー、双方の安全を確保するため、道路そのものを高架としたのです。

 橋はタイ王室が支援するゾウ保護プロジェクトの一環として建設され、建設費は5億8700バーツ(約27億円)とのことです。

【とんでもねえ…!】これが世界最新の「レベルが違う動物対策道路」です(写真)

Writer:

1966年、福岡県生まれ。自動車専門誌編集部勤務を経て独立。クルマ、PC、マリン&ウインタースポーツ、国内外の旅行など多彩な趣味を通し積み重ねた経験と人脈、知的探究心がセールスポイント。カーライフ系、ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆なども手がける。

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