決まっていない終了時刻 野球試合後の乗客集中、鉄道会社はどうさばく? その工夫とは

ダイヤを変更できる列車と、できない列車、その違いとは?

――西武鉄道は東京メトロ、東急電鉄、横浜高速鉄道と相互乗り入れを行っていますが、西武球場前からも直通列車が走るのでしょうか。

石田さん「西武球場前発の行き先は池袋線の池袋、保谷、清瀬、西所沢、新宿線の西武新宿、本川越、東京メトロ線方面の元町・中華街、新木場と多岐にわたります。野球開催時の増発列車には、試合終了時刻にかかわらず発車時刻が固定されている列車と、試合終了時刻によって発車時刻が変わる『パターン輸送』の列車があります。新宿線直通列車や東京メトロ線直通列車、特急『ドーム号』は前者にあたるため、試合が長引いてしまっても予定通りの時刻で発車します。後者については全て池袋線内完結の列車です。新宿線や他社線で、試合終了時刻に合わせたダイヤ変更は難しいのです」

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集中して訪れる大勢の利用者に対応するため、多くの自動改札機が設置されている西武球場前駅(2010年1月、恵 知仁撮影)。

――特急「ドーム号」の発車時刻を変えるのは難しいのですね。

石田さん「平日ナイターでは21時35分発、土休日デーゲームで13時開催時は16時32分発、14時開催時は17時32分発で固定しています。定員わずか400人の『ドーム号』の発車時刻を試合終了時刻に合わせるメリットと、発車時刻を変動させることにより池袋駅の特急ホームの運用や特急券の発売方法に影響が出るなどのデメリットを比較すると、後者のほうがはるかに大きいのです。ただ、過去に1回だけ発車時刻を固定している『ドーム号』のほか、試験的に時刻が変動した『ドーム号』を運転したことがあります。2013年の『クライマックスシリーズ』です。このとき『ドーム号』は、『パターン輸送』の快速列車のスジ(ダイヤ)で走行しました。そのため、途中の清瀬駅で特急列車の『ドーム号』が特急列車の『ちちぶ号』に追い越される奇妙な現象が起きました。ちなみにこの『ドーム号』は、池袋駅で特急ホーム以外のホームに到着しています」

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