「最も暑い地下鉄」なぜそんなに暑い? しかも“ロックコンサート並みの爆音” 「涼しい英国」は終わった

「いつも天気が悪く涼しい英国」は、もう過去のイメージかもしれません。特にロンドンの地下鉄ビクトリア線は、まるで蒸し風呂。どのようにして、この「最も暑い地下鉄」として悪名高い路線が生まれたのでしょうか。

ビクトリア線特有の暑さの原因

 暑さの原因は、トンネルの口径が小さくてクーラーの車外機を取り付ける場所が車両にないことや、地下深くに造られているため熱が逃げにくいこと、粘土質の地質が熱をためやすいこと、地上に出る区間がまったくないことなどが挙げられます。しかし筆者は、それら以外にも、ビクトリア線特有の原因がありそうに思えます。

 ビクトリア線は、暑さ以外にも、各駅がそれぞれ、地下の中の小高い「丘」の上に造られている「ハンプ・バック・ステーションズ(Hump-back stations)」という方式を採用していることで知られています。駅が丘の上にあることで、駅から発車した列車はジェットコースターのように坂を駆け下ることで自然と加速し、その助走を生かして次の駅まで坂を駆け上り、最後は上り坂を利用して減速することが可能なのです。

 これにより、ビクトリア線は平らな路線の場合よりも5%の節電を達成し、速度は9%速くなっているといいます(デイヴィッド・J・C・マッカイ「Sustainable Energy – without the hot air」による)。

 ここで問題なのが、速度が9%速くなると、摩擦熱の発生量は2割弱も増加するということです。摩擦熱が大きくなると、当然、車輪やレールは熱くなります。そして、地下鉄構内の熱の9割ほどが列車から発生していて、そのうちの4割が車輪とレールの摩擦由来だという調査があります(英国の環境・気候データ機関Groundsureによる)。

 つまり、ビクトリア線は他路線よりも速い分だけ、列車が熱を生産しながら走っている路線だといえるのではないでしょうか。

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コメント

3件のコメント

  1. 銀座線も昔は「車両に冷房を付けても、排熱でトンネル内や駅内が暑くなる」と言う事で、トンネル内の柱と柱の間に大型クーラーを設置して、電車は窓を開けて走ってたよ。大型クーラーの横を通る時だけ、窓から一瞬冷気が吹き込んで来た。

  2. 空気との摩擦で暑くなるほどの高速走行とは思えない。もしそうなら、扇風機の羽根はとても熱くなります。電車ご場合、モーターとブレーキ(・抵抗器)が主な熱源です。

  3. 建設費を節約する為に、トンネルの天井を低くしたツケだ。

    因みに大阪メトロ御堂筋線は計画段階でハイブリッドカーを導入する予定だった為、パンタグラフ取り付けに備え、トンネルの天井を高くした事が後の冷房化導入の際に役立った。