スバル渾身の高級車「遠くへ、美しく」を追求した意欲作なぜ失敗した? メカニズムもデザインも秀逸だったのに!

1991年9月に富士重工(現SUBARU)が発表した高級クーペ「アルシオーネSVX」は、伝統の水平対向6気筒エンジン+4WDに、ジウジアーロが手掛けた美しいスタイリングを組み合わせたのに、なぜ成功しなかったのでしょうか。

得意のメカニズム+ジウジアーロの美しいボディ=魅力的なクーペ

 ここから富士重工は製品に自信を失って迷走を始めます。1970~1980年代中頃までの製品は、ライバル他社を懸命に追いかけて流行のスタイリングを取り入れるなどしていましたが、どこか垢抜けず、無理に色気を出そうと足掻いた結果、パッケージングが甘くなり、持ち味であった合理的な設計が大きく後退します。

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富士重工の前身となった中島飛行機製の一式戦闘機「隼」(画像:パブリックドメイン)。

 国産車では数少ない前輪駆動車や4WD車をラインナップしていたため、東北や北海道など降雪地域では好調だったものの、販売力の弱さゆえに大多数のユーザーからは「変わったメカニズムの特殊なクルマ」と評されて敬遠されていました。

 そのような富士重工のイメージを一変させる転機となったのが、1989年1月にデビューした「レガシィ」です。起死回生を狙って開発されたこのクルマは、プラットフォームを一新して車格をアップ。4ドアセダンのほかにステーションワゴンを用意し、それらの上級グレードにはターボエンジン+4WDを設定することで走りの良さを強調しました。

 こうしたパッケージングが当たり、折からのワゴンブームも追い風となって「レガシィ」は爆発的なヒットを飛ばします。

「レガシィ」の成功で倒産の危機を回避した富士重工が、次なる一手として用意したのが、小型乗用車の「インプレッサ」と高級パーソナリティクーペの「アルシオーネSVX」でした。

 じつは富士重工にとって、「アルシオーネ」という車名は2代目になります。初代は、もともと水平対向4気筒1.8リッターターボエンジンを積む廉価な4WDクーペとして1980年代半ばに企画されました。にもかかわらず、プラザ合意後の急速な円高により、商圏を上方に移行せざるを得なくなります。

 その結果、モデルライフの途中で水平対抗6気筒2.7リッターエンジンへと換装(国内仕様は両エンジンを併売)されることになり、商品企画が混乱した経緯がありました。その反省から、2代目となる「アルシオーネSVX」では、最初から高級車として企画が進められたのです。

【画像】これが富士重工/スバル初の高級グランドツーリングカーです

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