この船に「クルマ6430台」どーやって積むの!? 「飛鳥III」と並んだ「日本郵船の自動車船」に潜入 もはや神業の積み込み
日本郵船が運航する自動車船の見学会に参加。当日は新しい外航クルーズ船「飛鳥III」も接岸し、市民が大小さまざまな船を楽しむなか、自動車船の見学も賑わいました。
実はかなり“頭脳戦”な自動車輸送
異なる種類の貨物を効率的かつ安全に積み付けるためには、寄港地ごとの車両の積み下ろし順序や、船体のバランスを考慮しなくてはなりません。

完成車輸送は日本発だけでなく、アジアの工場や海外メーカーから出荷された自動車も含まれるうえ、海外の港間で中古車を運ぶということもあります。欧州発では重量物も多く、顧客のニーズに応えつつ、目的地までスケジュール通り安全に商品を運ぶためには、貨物や航路の特性を把握することはもちろん、陸上社員と船員の緊密な連携が不可欠です。
見学者数は昨年の倍以上に
横浜港の主力輸出品目である完成自動車を取り扱う大黒埠頭は、大型自動車船11隻が同時に着岸可能な「東日本最大の自動車取扱拠点」です。近年では電気自動車(EV)など環境対応車の輸出入拠点として横浜市が機能強化に取り組んできました。近くを通ると日本郵船などの自動車船が荷役している姿を見ることができるでしょう。
「大さん橋で自動車船の見学会を行うようになってから10年になる。私が乗り組んでいたのはLNG(液化天然ガス)船だったので、一般の人が入れない区域で貨物を上げて、アメリカに戻ったり、オーストラリアに戻ったりしていたが、自動車船は大黒埠頭など市民に近いところに接岸している身近な船だと思う」(前田支店長代理)
今年の「うみ博」で「PLEIADES LEADER」を見学した人数は約1500人。昨年が約700人だったので、倍以上の人数が乗船したことになります。これは全てのエリアを見学できるプランに加えて、船橋を回らないコースを約700人分用意したためで、これにより多くの人が船内見学を体験できるようになりました。
前田支店長代理は「PLEIADES LEADER」が新造船の「飛鳥III」と並んだことについて触れ、「私が入社した頃はブイ係留で貨物船がたくさん入っていた。大さん橋から『二引』のファンネルを数多く見られた時代から一転してしまってたが、またこうやって『二引』のファンネルが並ぶ光景が戻ってきたのは非常に嬉しかった」と話していました。
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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