「ナニこの小さい車!」今もたまに見かける「2シーター軽」の全然伝わらない“世界初”とは? 実は驚異的だった“燃費”
今では一般的になったガソリンと電気を併用するハイブリッドカーですが、スズキは2003年に「軽自動車初のハイブリッドモデル」を発売しました。そのクルマは全長3mを下回る、きわめて小さなモデルでもありました。
2000年代前半にリッター34kmを実現! しかし…
2シーターの極めて小さいボディも相まって、ツインハイブリッドはリッター34kmという当時としては驚異的な低燃費も実現。ただし、ガソリンモデルが49〜84万円という安さだったのに対し、ハイブリッドの価格は129〜139万円と2倍以上でした。そのためか、ツインハイブリッドの販売は伸び悩み、わずか3年弱という短い期間で生産を終えることとなりました。
短命に終わったツインハイブリッドですが、もっとも当時、ハイブリッド車は最先端の存在であり、その優位性は一般にはまだまだ認識されていませんでした。今ではハイブリッドカーの代表格として広く浸透したプリウスでさえ、初代は満足な販売成績を収めされなかったことを考えれば、これは妥当な結果だったとも言えます。
また、スズキは当初からツインに販売成績は求めておらず、むしろ「自社の意義ある取り組みを知らしめる」役割の方を重視していたとも考えられます。それはツインハイブリッドが販売開始からしばらくの間、届け出の上ではガソリン版の「改造車両」として取り扱われていたことからも推測できます。
ツインは2人乗りマイクロカーという斬新なパッケージングであったうえ、「軽のハイブリッド」はスズキにとっても社会にとっても前例のない、ニーズが全く未知数なものでした。大失敗も予測できたなか、スズキが将来のクルマのあるべき姿を模索しながら開発したツインは、自動車史に残る「小さな名車」と呼んでいい1台でしょう。
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。
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