赤字鉄道、伊勢エビ駅長に「脱皮」の願い 初代は脱皮で殉職
「脱皮」目指す伊勢エビ駅長、「脱皮」で殉職 その悲劇を乗り越えて
2010年12月、宍喰駅近くの漁港で捕獲された雌雄1対の伊勢エビが、前任の「メダカ駅長」から業務を引き継ぎ、同駅の駅長に就任しました。メスの「あさちゃん」、オスの「てっちゃん」という名前もこのとき、阿佐海岸鉄道が地元で「あさてつ」と呼ばれていることにちなみ、命名されたものです。
「赤字からの脱皮」という願いを背負い、そうして登場した伊勢エビ駅長でしたが、初代「てっちゃん」はあるとき、脱皮に失敗して“殉職”。しばらく1匹で駅長を務めていた初代「あさちゃん」も、「故郷の海が懐かしい……海へ帰りたい……」とブログに書き、辞職してしまいます。
ただ、その職務は2代目の「あさちゃん」「てっちゃん」に引き継がれ、2015年8月に現在の3代目が就任。もともと夜行性の伊勢エビですが、苦手な昼の時間帯も駅長室内を動き回りつつ利用客を出迎え、あるいは見送り、その職務を果たしているとか。なかには遠くからわざわざ見に来る人もいるそうです。
そんな駅長の努力もあってか、阿佐海岸鉄道の2015年度における乗車人員は前年度比1.6%増の4万4377人に。伊勢エビ駅長が就任した翌年度、2011年度から5年連続で増えています。
しかし、2015年度の決算は引き続き537万円の赤字。「赤字からの脱皮」を目指して、伊勢エビ駅長の仕事は今日も続きます。また、初代「あさちゃん」と2代目「あさちゃん」「てっちゃん」は、職務を次代へ引き継いだあと、故郷の海へ無事に帰った(放流された)そうです。
【了】
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