超安い!でもよく見ると「え…!?」 ホンダの「日本一売れる新車」の元祖だったモデルとは

2025年現在、日本一売れている新車の「N-BOX」をはじめとするホンダの軽「N」シリーズですが、そのルーツは、今から約60年前に大人気を博した軽自動車でした。

31万3000円握りしめて工場へ来い!?

 まず、N360の車体設計は「大人4人がラクに座れる空間を先につくってしまおう」と、客室中心で進められました。この「乗るスペースは最大に、メカ部分はコンパクトに」という開発思想は、前述の「Norimono(乗りもの)」の定義である「(自動車が)単なる機械ではなく、人が乗るためのもの」という考え方のルーツでもあります。

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1967年発売のN360。ホンダにとっての実質的な初の量産4輪車だ(画像:ホンダ)

 また、エンジンはバイク用ユニットのノウハウを活かした空冷2気筒の高出力エンジンを新開発。駆動方式はコンパクトな前輪駆動式を採用し、さらなる室内空間の確保にも寄与しました。

 そして、N360は価格も非常に安く抑えられていました。ライバル車が軒並み35~45万円ほどで推移していたなか、東京・神奈川地区での店頭渡しで31万5000円という低価格を実現。さらに、生産工場であった埼玉県の狭山工場での引き渡しなら、もう2000円安い31万3000円で買うこともできました。

 この狭山工場での引き渡しは決して裏ワザなどではなく、当時の販売店用資料などには、堂々と「狭山工場渡し」の現金価格が記載されています。

 結果N360は大ヒットし、最大のライバルであったスバル360を発売2か月で追い抜き、軽のベストセラーに。販売台数は発売から2年ほどで25万台を突破、総生産台数は最終的に65万台を記録しました。また、カラーバリエーションも当時としては豊富に揃え、クルマに関心の薄かった女性ユーザーにも支持を受けました。

※ ※ ※

 現在のNシリーズは、N360の優れた開発思想を改めて現代に投影すべく立ち上げられたものです。軽自動車や低価格帯のクルマは「小さいのだから、これくらいは我慢すべき」「安いから、多少の不満は仕方ない」という仕上がりになりがちですが、Nシリーズからは小さく低価格でも「運転しやすく、安全で、さらにはオシャレなクルマでありたい」という、ホンダの心意気を強く感じます。

【速い! 安い! 広い!】これが元祖「ホンダN」です(写真で見る)

Writer:

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

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