パンダが帰っても孤軍奮闘!? 「パンダくろしお」どうなるのか 喪失感ただよう沿線の“強烈な残り香”

和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドからジャイアントパンダ4頭全頭が中国に返還。JR西日本の特急「パンダくろしお」は運行を続けて孤軍奮闘していますが、異変も生じています。そこかしこに“パンダの残り香”が見られました。

「パンダシート」は健在!

 JR白浜駅の有人改札にはパンダのぬいぐるみが飾られ、その1つは制帽をかぶって首の部分に「ようこそ!南紀白浜へ」のボードを掲げていました。”次世代継承”の願いも込めてか、アドベンチャーワールドで飼育されているレッサーパンダやアミメキリン、アルパカのぬいぐるみもありますが、どうしても存在感のあるパンダのぬいぐるみに目が行ってしまいます。

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JR白浜駅の有人改札に飾られたパンダなどのぬいぐるみ(大塚圭一郎撮影)

 改札を出ると、駅舎内の出入り口脇には2015年に引退した381系「くろしお」の一部車両に搭載していた座席「パンダシート」が健在でした。ヘッドレストがパンダの顔、背もたれがパンダと同じく白と黒のツートンカラーというインパクト抜群の座席です。

 記念撮影をできるように置いており、筆者も腰掛けるとビニール製のため、やや硬い感触でした。もっとも、アドベンチャーワールドを訪れる小さな子どもがいる家族連れの利用を想定していたことを考えると、食べこぼしをしてしまっても拭き取りやすい素材の採用は良かったと言えます。

 駅を出たところのパンダ像も残されていたものの、2025年6月に返還された4頭の写真に「今までありがとう また来てね」と記したポスターとシールを随所に貼り付けていました。台座にはこのポスターを3枚掲示していましたが、これは標語の「パンダのまち 白浜」を覆い隠すためです。

 白浜町役場も正面出入り口の上に「パンダのまち 白浜」と記した大きな看板を掲げていましたが、パンダ返還を受けて7月31日に撤去されました。

これが誤認を防ぐ「適切な対応」か…

「パンダくろしお」には「Smile(スマイル)アドベンチャートレイン」と「サステナブルSmileトレイン」があり、筆者は帰路に後者を用いた6両編成の新大阪行き特急「くろしお」に乗りました。先頭部に親子のパンダの顔を装飾したデザインはそのままでした。

「アドベンチャーワールドにパンダがいる」と誤認されないための「適切な対応」が何かを探ろうと車体を眺めていると、側面上部にあった「アドベンチャーワールド×JR西日本」の文言が消えていました。

 そして車内に入ると、白地に親子のパンダが描かれていた座席のヘッドレストカバーも通常の白い無地に変わっていました。カバーには「アドベンチャーワールド×JR西日本」の文言が入っていたため、撤去対象になりました。

【こみ上げる悲しさ】これが「パンダを失った」沿線の様子です(写真)

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