「日本最南端の特急」だけど「日本最南端のJR駅」まで行かない!なぜ? 異色のノンストップ特急 白黒ハッキリせざるを得ない理由

来年に登場から15年を迎えるJR九州の観光列車「指宿のたまて箱」は、運行区間が50km未満、かつ途中ノンストップという異色の特急です。先にある“名所”まで延長しない理由をJR九州幹部に尋ねました。

「ノンストップ化」で賞味期限が過ぎたジョーク

元JR九州首脳は、かつてこんなジョークを披露していました。

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JR指宿枕崎線の指宿駅舎(大塚圭一郎撮影)

「高校生2人が『指宿のたまて箱』に乗ることになり、1人が指宿で、もう1人が途中の喜入で乗車することになりました。指宿の1番線から乗った生徒が喜入に着く際、もう1人の生徒に携帯電話で『白い列車だよ』と伝えました。ところが、喜入駅の2番線にいた生徒は『白い列車なんて来ていないよ』と言い、こう続けました。『黒い列車しか来ていないよ』」

しかし、このジョークは賞味期限が来ました。2024年3月16日のダイヤ改正で、喜入の停車を取りやめたためです。筆者がJR九州に理由を尋ねると「喜入駅よりご乗車のお客さまが少なかったため」との回答でした。以来、鹿児島中央-指宿間をノンストップで走っています。

筆者は指宿から鹿児島中央まで「指宿のたまて箱」に乗りました。このときはキハ140形とキハ47形の2両編成で、予約したのはキハ47形の錦江側の窓に向かってカウンター沿い並んだ座席です。

南九州産のスギを使った内装に囲まれた座席に腰掛け、出発すると指宿市役所の脇で市職員が手旗を振って見送ってくれていました。車内にはイカやタツノオトシゴなどのイラストが点在しており、本棚には童話集などの書籍が並んでいました。

客室乗務員が車内放送で「錦江湾にはミナミバンドウイルカ、ハセイルカ、バンドウイルカの3種類のイルカが生息しています」と教えてくれました。「イルカが泳ぐ様子が見えることもあります」ということです。この日はあいにくの曇りで、錦江湾の奥にある桜島の山容もかすんでいました。

終点の鹿児島中央には発車から50分余りで到着。車窓を眺めたり、車内を見学したりしていると、あっという間に終点だったという印象です。

「もう着いたの!?」と驚く乗客が扉をくぐり抜けた時に浴びるのが、「シュー」という音とともに降り注がれる霧状のミストです。浦島太郎がたまて箱を開けたときに出てきた白い煙をイメージしており、浦島太郎ほどの歳月ではないにせよ乗客に車中で過ごした時間が結構長かったことを知らせるかのようです。

【異色すぎる!?】これが「ミストを噴射するノンストップ特急」です(地図/写真)

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