日本デビュー20年「レクサス」になって消えた「トヨタ車」たち 廃止反対が吹き荒れた車も!? なぜ“別ブランド”が必要だったのか
トヨタの高級車ブランド「レクサス」は、先日改良を発表した「IS」をはじめ、多くの人気モデルを展開しています。しかし、そもそもなぜ“トヨタ”ではない別の名前のブランドが必要だったのでしょうか。
消えていった「ソアラ」「アリスト」と、継承された「アルテッツァ」の血脈
今も支持されている成功作もある一方で、すでに消滅してしまったモデルも存在します。高級クーペの「ソアラ」もそのひとつです。1981年の初代登場以来、最先端の装備を満載して大人気を博したソアラは、1991年に3代目へと移行するとともに、レクサス「SC」の名で世界の市場に挑戦しました。

しかし、カリフォルニアのデザインスタジオ「CALTY」が手掛けた斬新なデザインが日本では不評だったうえ、バブル崩壊の影響もあって国内販売は低迷しました。2001年には、高級オープンモデルへと大転換した4代目SC(ソアラ)が登場しましたが、2005年に日本でもレクサスSCに統一され、ソアラの名前は廃止に。レクサスSCとしての販売も、2010年に終了となりました。
また、3代目ソアラと同じ1991年に誕生したトヨタ「アリスト」も、1993年からは北米などでもレクサス「GS」として販売されました。ハイパワーな高級セダンとして人気を博したアリスト/GSですが、1998年にフルモデルチェンジした2代目モデルは特にヒット作となり、レクサスのシェア拡大に寄与しました。
2005年には3代目GSが登場し、アリストの名前を捨ててネーミングを統一。日本におけるレクサスの第1弾ラインナップの一角を担いましたが、セダン不振のなか徐々に販売成績が低下していき、2020年に4代目モデルをもって生産を終えました。
その一方、レクサスブランドのセダンとして続投が決まったのが、先ごろ刷新された「IS」です。ヨーロッパにおけるレクサスの本格展開の一手となった初代ISは、日本では1998年にトヨタ「アルテッツァ」としてデビューしたモデルでもあります。
ISは欧米で着実に人気を集めていった一方、アルテッツァは2005年のレクサス日本進出を機に生産を終了し、2代目のISにバトンタッチ。以降は日本国内でもレクサスISとして親しまれています。
現行のレクサスISは、2013年にフルモデルチェンジした3代目モデル。すでに登場から12年が経過していますが、2025年9月にはフロントマスクなど一新し、熟成を重ねた改良モデルが公開され、更なるロングセラーモデルとなる見込みです。
こうしてレクサスは高級車ブランドとして成長し、トヨタブランドの多くの名車がレクサスへと“巣立って”いきました。この構図に複雑な思いを抱く人がいるかもしれませんが、時代の変化を掴み、日本のマーケットを飛び出して世界的な高級モデルに進化したと考えると、筆者はむしろ誇らしいことではないかと思います。
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。
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