どんな船でもイチコロ!?「驚愕の威力を誇る対艦兵器」ステルス爆撃機でテスト! 誕生の理由は“おサイフ事情”でした
アメリカ軍とノルウェー軍は2025年9月、北大西洋において次世代の対艦船用兵器である「クイックシンク」のテストを実施し、B-2「スピリット」爆撃機から投下して標的となる艦艇を撃沈したと発表しました。
新型兵器ってどんな感じ?
今回、初公開された「クイックシンク」は、外見上は2000ポンド爆弾をベースにしたGBU-31 JDAMと非常によく似ていますが、先端のシーカー部分がレーザー誘導方式を組み合わせたLJDAM仕様になっているようです。
これは目標となる水上艦艇に正確に命中させるためと、それが移動した場合でも対応するためと思われます。試験ではノルウェー空軍のF-35「ライトニングII」も参加しており、同機がレーザーポインターで目標を指示して、共同で攻撃を行った可能性もあります。
また、爆弾の後部に付けられる誘導用のフィンには「クイックシンク・オンリー」という注意書きがあり、専用のモノが使われていると推察されます。
爆弾本体には試験での識別用のためか通常とは異なる塗装がされており、公開された画像には黄色と黒色の警告色で塗られたものと、ピンク一色で塗られたものが写っていました。
「クイックシンク」の試験は、今回のノルウェーに先んじて、2024年のリムパック(環太平洋合同演習)でもテストが行われており、兵器としては完成しつつあるようです。ベースとなったJDAMは、現在でも多くの戦闘機・爆撃機で運用できる定番兵器であり、この「クイックシンク」も実質的にはJDAMの派生モデルであるため、配備が始まれば世界各国で運用される定番の対艦船用兵器となるかもしれません。
日本とその周辺国は海に面した海洋国家が多く、武力が伴った有事が起こった場合には艦艇を巻き込んだ戦闘が発生する可能性が高いでしょう。航空自衛隊ではF-35A戦闘機とF-2戦闘機で既にJDAMを運用しているため、近い将来「クイックシンク」を導入するかもしれません。
※誤字を修正しました(9月17日19時30分)。
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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