なぜ大型空母は似たような形なのか「とにかく発着艦をスムーズに!」試行錯誤の歴史 迷走して“ひな壇”になったものも

2025年9月12日、中国人民解放軍海軍の最新空母「福建」が、初めて台湾海峡を通過したことが確認されました。カタパルトを搭載する空母は、艦後方にナナメの飛行甲板(アングルド・デッキ)と、艦前方の直線的な飛行甲板を組み合わせた形状が現在は基本となっています。

空母が今の形に落ち着くまではかなりの試行錯誤があった!?

 2025年9月12日、中国人民解放軍海軍の最新空母「福建」が、初めて台湾海峡を通過したことが確認されました。ところで、今回の「福建」やアメリカ海軍の原子力空母に代表されるように、カタパルトを搭載する空母は、艦後方にナナメの飛行甲板(アングルド・デッキ)と、艦前方の直線的な飛行甲板を組み合わせた形状が基本となっています。しかし、この形に落ち着くまでには、さまざまな試行錯誤がありました。

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中国船舶集団が公開した「福建」他の空母も大小の差こそあれ発艦と着艦を行う2種の飛行甲板がある(画像:中国船舶集団)

 世界で初めて軍艦から航空機を発艦させようと計画したのは、奇抜な発想に富むイギリスでした。第一次世界大戦中の1917年3月、イギリス海軍は軽巡洋戦艦「フューリアス」の甲板上に滑走路を取り付ける改修を行います。これが、世界初の空母とされています。

 ただし、改修内容は艦首の砲塔を撤去し、その部分に長さ70メートル、幅15メートルの飛行甲板を設けるというもので、発艦は可能でしたが、着艦はできませんでした。そこで同年10月、後部の砲塔も撤去し、着艦用の甲板を追加します。

 しかし、改修を終えた後に重大な欠陥が明らかになります。艦の中央にあった艦橋が、航空機の着艦を妨げるどころか、極めて危険な構造物となってしまったのです。

 当時の航空機は速度が遅かったとはいえ、70m程度の短い飛行甲板への着艦は至難の業でした。艦載機の衝突を防ぐためにネットを張る方法も考案されましたが、実戦で使用できる代物ではありませんでした。理論上は、前方甲板から発艦し、後方甲板で着艦することで、波状攻撃を可能にする構想もありましたが、実際には運用されないまま第一次世界大戦は終結します。

 その直前、1918年9月16日、イギリス海軍は商船を改造して「アーガス」という空母を開発します。この艦には「フューリアス」の失敗が活かされており、飛行甲板上に一切の構造物を設けない「全通甲板」が初めて導入されました。これが、世界初の実用的な空母とされています。

 しかし、「アーガス」にも課題が残されていました。それは、発艦と着艦の作業を同時に行うことができない点でした。

【もはや別物!?】これが、試行錯誤の末に多段空母なった「赤城」と「加賀」です(写真)

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