「ドイツさん戦車ください!」 北欧へ渡った戦車たちの波乱万丈すぎる半生…21世紀になって“カネに化けた!?”

第二次大戦中にソ連と戦っていたフィンランドは、ドイツからIV号戦車をなんとか購入します。しかし直後、ソ連との休戦が成立し、代わりにドイツが敵国に。ドイツ製IV号戦車15両には、その後も波乱万丈の運命が待ち受けていました。

「戦車代」は未精算のまま?

 さらに運命は皮肉でした。納品直後、フィンランドはソ連との停戦交渉を開始し、9月4日には休戦、19日にはモスクワ休戦協定が締結されます。

 この協定によりドイツとの外交関係が断絶され、全てのドイツ軍をフィンランドから追放または武装解除、抑留することが規定されます。結果、ドイツとの間にラップランド戦争が生起します。昨日の友は今日の敵、大国に挟まれた小国の悲哀を感じさせます。

 受領したIV号戦車は取扱い訓練などドイツからの運用支援が当然受けられず、戦力化が遅れてラップランド戦争には投入されませんでした。結局、15両すべてが母国に砲口を向けることなく終戦まで生き延びました。

 ちなみにIV号戦車は現代のウクライナのように供与ではなく、ドイツからの購入契約で、代金は1両25万ライヒスマルクだったとされます。当時の日本円に換算すると約50万円。日本の九七式中戦車が約14万円であり、かなり高価であることが分かります。精算は現金決済ではなく当時一般的だったニッケル、木材など戦略物資とのバーター取引でした。しかし敵対関係となったため支払いが残り、戦後も未精算のままとなっているようです。

 フィンランドに届いたIV号戦車は、Ps. 221-1からPs. 221-15までの番号が付与されます。戦車旅団第2大隊に配備され、IV号にちなんで「ネロネン」(4の意味)と呼ばれていました。1個大隊の定数にも満たなかったため、III号突撃砲が穴埋めしました。

 主砲の75mm KwK40戦車砲はT-34に対抗できると評価されました。一方でサスペンションの揺れが大きいため乗り心地が悪く、主砲の照準にも支障があるとされました。

 この振動問題はドイツ軍や連合軍にも記録がなく出処が不明ですが、「ラヴィスティン(揺れるやつ)」とあだ名されていたことからフィンランド戦車兵の間では評判だったようです。III号突撃砲と比べた体感差とか、改造を重ね過ぎたJ型の車体バランスが悪い問題ではないかともいわれています。

 また、IV号戦車H型やJ型の特徴であるシュルツェン(対戦車ライフルからの防護を目的とした増加装甲)は、森林地帯で引っ掛かって破損や脱落するなど、邪魔モノ扱いされて早々に取り外されてしまいました。

【写真】フィンランドで運用されたIV号戦車

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