「ドイツさん戦車ください!」 北欧へ渡った戦車たちの波乱万丈すぎる半生…21世紀になって“カネに化けた!?”
第二次大戦中にソ連と戦っていたフィンランドは、ドイツからIV号戦車をなんとか購入します。しかし直後、ソ連との休戦が成立し、代わりにドイツが敵国に。ドイツ製IV号戦車15両には、その後も波乱万丈の運命が待ち受けていました。
波乱万丈だった15両の「その後」
15両の運命は波乱万丈でした。Ps. 221-4は到着早々1944年9月20日にエンジン火災で全損。Ps. 221-7・8・9・14は1947年2月に軍事技術補給廠の倉庫火災で焼失します。残りは1962年9月に全車退役となり射撃場で標的となります。
その後、Ps. 221-2・6はパローラ戦車博物館に、Ps. 221-12はミッケリの歩兵博物館にそれぞれ所蔵されました。保存されているのは、この3両です。
2014年10月、フィンランド公共放送のYLEが「演習場の標的として使われていた錆びた残骸が“お宝”になった」と報じました。フィンランド軍が射撃場に残っていたIV号戦車を「現状渡し」でオークションサイトに出品したのです。
開始価格は50ユーロ(約8600円)でしたが、あっという間に800件以上の入札があり落札価格は21万3150ユーロ(約3700万円)となりました。このIV号戦車はPs. 221-11とされ、フランス・ストラスブール近郊の軍事博物館Musee Militaire Park Franceへと渡りました。現況は確認できません。
フィンランドが期待したIV号戦車は、「最強」ではなく「使える」ことでした。その判断は軍事的合理性を示すものですが、半世紀を経た21世紀のフィンランドに「期待以上の利益」をもたらしたようです。YLEは「この戦車が標的として撃ちまくられていなければ、一体いくらになっただろう」とコメントしています。
Writer: 月刊PANZER編集部
1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。
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