なぜ100馬力超の軽自動車ない? 日本企業がエンジン出力で横並びな理由 キャンプブームで潮目変わるか?
基本的に軽自動車のエンジン出力は最大64馬力となっています。長らく続いているこの処置ですが、今後変わる可能性はあるのでしょうか。
「自主規制カンケーなし!」な軽自動車の存在
この時代に登場した軽自動車といえば、スズキ「アルト」(1979年発売)やダイハツ「ミラ」(1980年発売)が挙げられます。これらに追随するかのように、他メーカーも独創的な軽自動車をいくつも発表。それにあわせて高性能化も進みました。

しかし、その際に懸念されたのが交通事故です。特に1980年代は自動車交通の発達に交通事故を抑制するための施策が間に合わず、1975年をピークに減少していた死傷者数が再び増加し始めていました。
こうした背景もあって、当時最もハイパワーだった軽自動車であるスズキ「アルトワークス」(1987年発売)の64馬力を上限として、軽自動車の馬力は自主規制されることになりました。
ただし、これはあくまで国産車メーカーの取り組みとなります。たとえばイギリスのケーターハムが製造する「セブン170」は日本の軽自動車規格に合致しており、実際に登録も可能ですが、エンジン出力は最大85馬力です。
現代であれば、軽自動車のエンジンで64馬力以上を発揮するのもさほど難しくないでしょう。しかし国産車メーカーのあいだに、この自主規制をやめようという動きはほとんど見受けられません。その理由は、64馬力で十分実用的だからでしょう。
多くの軽自動車は、高速道路を使った長距離移動ではなく、近場を走り回る「日常の足」としての役割がメインになっていることが多いです。荷物を多く載せて走行する場合であっても、街乗りならば64馬力で事足ります。
さらに排ガス規制や燃料費高騰が叫ばれる昨今では、下手に出力を上げて、燃料効率を下げることは、メーカー側もユーザー側も望みません。つまり、特に出力を上げる必要性がないのです。
最近では日産「サクラ」や三菱「eKクロスEV」といった軽自動車規格のBEV(バッテリー電気自動車)も登場していますが、これらの最大出力も64馬力に制限されています。
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