「そんな鉄くずどうするんだ」で始まり、今はリピーター続出!? “日本最長の保存鉄道”どうやって維持? 冬はマイナス30度の地

りくべつ鉄道は5.7kmの廃線跡を動態保存に活用しています。列車の運転体験は日本最長の距離を誇り、全国からファンが集います。

廃止直前に町へ移送したワケ

 鉄道用地は午前0時をもって銀河線が廃止されると市と町へ移管され、1市6町の境界で各自治体の所有となります。自治体をまたいでの輸送は調整や事故時の対応などで困難が予想され、それならばと午前0時前に線路上を回送しました。

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陸別駅は国鉄時代から重厚な跨線橋が活躍してきた。この跨線橋とCR形気動車は銀河線時代からの顔である(吉永陽一撮影)

 なぜ陸別駅へ回送させたのか。それは当時の陸別町長と商工会長が「車両を使って動態保存できないか?」と模索したからです。車両は平成元年車で車齢が18年と若く、まだまだ使えます。車両回送後の約1か月後、旧車庫から車体を持ち上げるリフティングジャッキや、ガラス、ドアといった鉄道部品を陸別駅へと輸送し、動態保存の態勢を整えました。

「そんな鉄くずを持ってきてどうするんだ、と町民から言われたこともありました」

 杉本さんは当時を振り返りながら苦笑いをします。動態保存には運転士の確保も課題で、一筋縄でいかないのは予想されました。そこで関係者は各地で動態保存を実施している施設を見学し、町長と商工会が率先して動き、モデルケースとして「碓氷鉄道文化村」などを参考にしました。

 りくべつ鉄道の動態保存は、OB運転士による乗車体験だけではなく、鉄道ファンなどの一般人が運転を体験できる施設として2008年に開業しました。開業時は陸別駅1番線が乗車体験用、2番線は運転体験と、駅構内のみでスタート。廃線跡は線路を温存し、廃止から4年後に駅構外から北側へ約1.6kmを整備して延伸しました。

 運転体験は駅構外も可能とし、2021年には旧分線駅まで延伸。日本最長の運転体験ができる保存鉄道が誕生しました。

 りくべつ鉄道は陸別町の所有であり、敷地は町有地なので鉄道関連の法律は適用されませんが、踏切は廃止されているために道路が優先となります。警察へ道路使用許可を毎月取り、保安要員を配置してから列車通過の対応をします。安全に関しても、運行を支えるスタッフ同士の連絡を密に取り、列車の運行から保守点検まで安全運行を遵守する体制を整え、運転体験を支えています。

 気になるのは、5.7kmという長距離の管理です。保守は町内の業者に委託して枕木交換や線路点検を実施し、元国鉄保線区が役員となって点検を管理しています。“日本一寒い町”は冬に氷点下35度まで下がり、寒暖差で地面の隆起が起きますが、線路の歪みは過去にもありませんでした。

 杉本さんいわく「網走線の建設時、線路基礎となる部分の地面を深く掘って地慣らしをした」とのことで、現在でも線路保守の上で助かっているようです。

 ただし保線体勢が整っていたとしても過信できません。事故を起こさないためにも、運行速度は約15~20km/hと鈍足ですが、その積み重ねが大事なのです。

【廃線だけど現役!】りくべつ鉄道の列車と「路線図」を見る(写真)

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