日本参入する英国「超リアル鉄道ゲーム」開発責任者の“鉄道史観” ただ新作は「地下鉄レースゲーム」!?

鉄道運行シミュレーションゲーム『Train Sim World6』の開発責任者が単独インタビューに応じました。今後、「超リアル」な鉄道ゲームは別機軸での活路も狙いつつ、あわせて全く別次元の「ゲームらしいゲーム」も展開するといいます。どのような意図があるのでしょうか。

「超リアル」が狙う別視点での活路

 また、「超リアル」を追求する鉄道シミュレーションゲームは、現実世界の鉄道の今後の発達とは無関係な別の視点での活路を見出せそうです。つまり、同氏が口にした「すでに失われたものの復元シミュレーション」です。

 それが凝縮されるのが、2026年春に同シリーズでアジア初の路線として追加される日本のJR只見線になりそうです。同社の協力企業Union Workshopから発売されるJR只見線のアドオンでは、2011年7月の新潟・福島豪雨により壊滅的な被害を受ける前の地形が再現され、そこを2020年に惜しまれながら定期運行を終了したキハ40系気動車が走るそうです。

 同氏は只見線のゲームを開発する際に、只見線の絶景だけでなく、「写真を見ただけでも欧米ではないと分かるような(日本特有の)空気感を大事にしたい」と述べました。そうした「超リアル」の追求の中に、もう見られない光景や、乗れない車両・路線を運転したり、旅したり、撮り鉄したりできるという「非現実」を加えていく――。ペドルスデン氏自身も個人的に「古い列車の方が好きだ」と語ったことからも、今後はそんな風にノスタルジーを追いかけられる、時空を超えた鉄道の旅を楽しめるシミュレーションゲームが増えるのかもしれないと思えました。

 開発責任者に直撃できる好機に、筆者は、日本の新幹線0系をゲームに追加する計画はないのか、同氏に問いかけてみました。

 すると、深く、深く考えながら、「同シリーズに日本の新幹線を加えるなら0系は絶対にやりたい」と、頭の中でいろいろと確認するように幾度となくうなずきながら言いました。

 そして、「世界中のどの国の鉄道にもそれぞれの問題点や課題があり、それを乗り越えようと開発努力を続けたことで、各国の鉄道が独自の進化を遂げた。(地形的に細長い日本では)長い距離をいかに短時間で人を輸送するかが常に課題だった。(0系は)それを見事に実現させた。鉄道にとって新たな夜明けを開いた」と称賛しました。

 路線をゲーム化するにあたって、鉄道史や各国の文化を鑑みながら深く熟慮する同氏の姿勢が垣間見られました。新幹線を同シリーズに追加するという確約は得られませんでしたが、一鉄道ファンとしてはゆるりと待ってみたいところです。

【超リアルだけど非現実】新作『Metro Rivals』のスクリーンショット(画像)

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