ドローン戦術でもせめぎ合い? ウクライナ「Uber方式」対ロシア「必殺コンビ」その違いは

ウクライナ戦争で戦場の主役となったドローン。砲兵と連携するその戦術は、ウクライナとロシアで大きく異なります。一体、何が違うのでしょうか。

市民が開発 ウクライナのUber的ドローン戦術と適応力

 2022年2月に始まり、泥沼の様相を呈しているウクライナ戦争ですが、この戦いではドローンとミサイルによる戦略攻撃が、ロシアとウクライナ双方の戦争計画で重要なものになっています。

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砲撃を行う2S7「ピオン」自走砲。写真はウクライナ軍の車両(画像:ウクライナ国防省)

 それと同時に、最前線の地上戦においても、ドローンと砲兵の連携が戦いの様相を根底から変えました。ただ、その戦術は両国で大きく異なっています。

 ウクライナの強みは、市民ボランティアやIT企業が軍と一体となったボトムアップの開発体制にあります。これは、2014年の紛争以降に市民が軍を支援してきた文化的な土壌が大きく影響しています。

 この柔軟な体制が生み出したのが、通称「砲兵のためのUber」とも呼ばれる国産の指揮統制システム「GIS Arta」です。ドローンが見つけた敵の位置情報を、最も攻撃に適した部隊へ瞬時に伝達し、目標発見から攻撃までの時間を30秒~1分に短縮しました。

 しかし、戦場は目に見えない電波の戦いである電子戦(EW)の場でもあります。ロシアの強力な電波妨害(ジャミング)に対抗するため、ウクライナもまた、ロシアが先に実戦投入した「光ファイバードローン」を迅速に導入しています。これは無線ではなく物理的なケーブルで操縦するため、電波妨害の影響を受けません。

 兵士たちはさらに、戦車に檻のような増加装甲、いわゆる「コープケージ」を取り付けて物理的にドローンを防いだり、風船でできたおとりの兵器(デコイ)を置いて高価な攻撃ドローンを無駄遣いさせたりと、必死の攻防を繰り広げています。

 これはロシア軍も同様で、安価な模倣ドローンを飛ばし、ウクライナの貴重な防空ミサイルを消耗させる戦術をとっています。

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