道路を覆う“スケスケのトンネル”一体どういった意味あるの!? “網”はなにを警戒しているのか

高速道路などを走っていると、まれに金網で覆われたトンネルのような構造物の正体とはなんなのでしょうか。

設置場所に高速道路が多いのは理由がある?

 高速道路などを走っていると、まれに金網で覆われたトンネルのような構造物を見かけることがあります。雪国で見られるスノーシェッド(雪覆い)にも似ていますが、こちらは透けており、雪の重みに耐えられそうもありません。もちろん、土砂崩れなどに対してもあまり効果はないといわれます。では、いったい何のための構造物なのでしょうか。

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関越道で見られる網でできたトンネル(乗りものニュース編集部撮影)

 関東では、関越道の東松山IC南側などで見られるこの構造物は、「飛球防護柵」または「防球シェルター」と呼ばれています。「飛球」という名のとおり、高速道路に“飛んでくる”可能性のあるもの――主にゴルフボール――への対策として設置されているのです。

 その仕組みは、野球場などに設置されているバックネットと同様で、柱や梁(はり)に金属製の網を張り、飛来物を防ぐというものです。

 ゴルフでは、自然の山の斜面を活かした山岳コースが基本形のひとつです。そのため、山のふもとや中腹部分にゴルフコースが造られることが多くなっています。一方で、そうした場所は用地取得が比較的容易なため、高速道路の建設地としても適しており、高速道路とゴルフ場が隣接してしまうケースが少なくありません。その結果、飛球対策としてこのような防護柵が必要になるのです。

 こうした構造物は山間部だけに限らず、かつては首都高速道路にも存在していました。たとえば、11号台場線のレインボーブリッジから台場側の有明JCTに接続する手前には、沿道にゴルフ練習場があり、そこからの飛球を想定した防護柵が設置されていました。しかし現在では、ゴルフ練習場は物流倉庫へと建て替えられ、防護柵も撤去されています。

 1980年代後半から90年代前半のバブル景気時代にはゴルフ場建設ラッシュが起こり、全国各地に多数のゴルフ場が造られましたが、その後は不況やレジャーの多様化などで、年々その数を減らしています。ただ、こうした防護柵も同じく減っているという訳ではなく、ゴルフ場が閉鎖されてもそのまま設置されているものや、開通したトンネルを抜けた近くにゴルフ場があり新たに設置するケースもあるようです。

 たとえば、静岡県の国道138号須走道路・御殿場バイパスの工事では、バイパス沿いにゴルフ場が隣接していたことから、2020年4月に飛球防護柵の設置が決定し、2021年2月に完成しています。

 なお、金網で覆われたトンネル状の構造物が、すべて飛球防護を目的としているわけではありません。一部では、鳥の生息環境を保護する目的で、高速道路を金網で覆う措置が取られる場合もあります。そのようなケースでは、側面が光や騒音を遮る金属製の防壁となっており、上部のみが金網状になっていることが多いようです。

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