知られざる「もうひとつの大統領専用機」40年飛んだ緑の米軍ヘリ 来日はこれが最後か?
アメリカのトランプ大統領が乗ってきた「エアフォースワン」の傍らに停まっていた緑色のヘリコプター、これも大統領専用機になります。「マリーンワン」と呼ばれるこの機体、じつは日本の空を飛ぶのは最後かもしれません。
VH-3Dは2026年に退役の予定
トランプ大統領が使用したヘリコプターVH-3Dは、1978(昭和53)年にデビューした40年選手の大ベテランです。カーター大統領の時代から幾度も改修を重ねて使用してきたものの、老朽化が進んでいたことから、後継機種の導入が大きな課題となっていました。
新しい「マリーンワン」の選定については2000年代から検討されていましたが、2001(平成13)年に発生したアメリカ同時多発テロ事件や、アグスタウエストランド製AW101をベースにした要人専用機の開発遅延とコスト超過による採用中止など、さまざまなゴタゴタが重なり、機種更新は2020年代にまでずれ込んでいます。
新型の大統領専用ヘリコプターであるVH-92Aについて、アメリカ国防総省は既存のVH-3DとVH-60Nを置き換えるため、VIP仕様のVH-92Aを21機、このほかに訓練用や各種支援用として通常の輸送型CH-92Aを2機、計23機調達する計画を立てられ、2024年8月に全機の納入が完了しました。同月、バイデン前大統領が搭乗し、初めて「マリーンワン」として任務飛行を行っています。
VH-3Dは2026年に退役する見込みのため、「マリーンワン」として日本の空を飛行するのは今回が最後かもしれません。
ちなみに「エアフォースワン」も、ボーイング747-200Bをベースにした現行の機体(VC-25A)から、ボーイング747-8をベースにした新型機(VC-25B)へ置き換えられることが決まっているため、そのうち最新鋭機で揃えられた大統領専用機のペアの活躍を見ることができるようになると思われます。
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。





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