主任務は「撃墜されること」 F-16原型の「ドローン」、米空軍で実用化

現役戦闘機がドローン化された、もっともな理由

 QF-16の原型はロッキード・マーティンF-16「ファイティングファルコン」であり、ボーイング社がドローン化のための改修を行ったものです。「F-16戦闘機を無人化」とはいっても、実は無人戦闘機として使われるわけではありません。QF-16はおもに、対空ミサイルなどウェポンシステムの性能評価に使用する「標的機(フルスケール対空ターゲット)」として開発されました。

 アメリカ空軍はこれまで、F-4「ファントムII」をドローン化したQF-4を使っていました。しかしF-4は原型機が1950年代に開発された老朽機であり、ドローン化するための機体在庫が払底してしまいました。そこで、新鋭機F-35A配備によって退役するF-16が、その後継機としてドローン化されることになったのです。

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QF-16のコックピットはもちろん無人だが、シートは有人機だったころのまま(写真出典:ボーイング)。

 戦闘機をベースとした標的機は、当然ながら非常に高価となりますが、その対価としてほかの標的機にはない高い機動性を持っています。この機動性を生かして回避機動を行うことで、ミサイルが持つ最大限の性能を試験・評価することができます。

 また、QF-16はQF-4の7.3Gを上回る9Gの最大荷重(旋回時のG制限)に達し、電子妨害装置をも搭載。現代的な戦闘環境をリアルに再現することが可能です。まさに標的機としてはこれ以上ない、最適な機種だといえます。

 かつて、アメリカ陸軍にはRP-63「ピンボール」という、既存のP-63「キングコブラ」の機体を装甲で覆った「有人標的機」なるものがありましたが、やはり非常に危険であるため、現代では有人機を直接攻撃するようなことはありえません。

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コメント

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6件のコメント

  1. 50年来の航空ファンです。
    昨今は「ドローン」といえば小型の無人ヘリコプターを指すことが一般的な感じですが、昔(それこそ半世紀ほど前)は飛行機で引っ張るグライダーの様な標的機を指すこともありました。
    この記事を読んで、すごく変わってきたなあと想っているところです。

  2. 耐用年数の切れかけた老朽機をドローン化したのでは?
    いずれはF15の標的機も現れるかも。

  3. 日本も見習うべきだな。

    • かつて日本にもF-104改装のUF-104が10機前後存在して硫黄島をベースにミサイル標的として運用されてました。日本でもF-4を数十機単位で改造して平時標的機有事には無人攻撃機、無人妨害電波投射機、あるいは囮機として使用すべきかも。最もその場合の最大の課題は運用基地でしょうが。

    • ジャンルは違うけど、私は「ラジコン戦艦」摂津のことを思い出していました

  4. 当然、'70年代末から導入されたF-16Aがベースでしょうね、砂漠でモスボールされてるのを再生するのかな
    F-15AやF/A-18Aもモスボールされてるし、退役したこの世代の機体の再利用法としては適切