ガンダム世界の「地球連邦軍」なぜ一年戦争後“超絶ザコ化”したのか? 現実にもあてはまる「仕方ない」状況とは?

ファーストガンダムでは圧倒的な軍事力を示した地球連邦軍、ただのその後のシリーズでは弱体化が目立ちます。なぜなのでしょうか。

圧倒的な戦力投入できた国力はどこへ?

「我がジオンの国力は連邦の30分の1以下である」――。これはアニメ『機動戦士ガンダム』で、ジオン公国の独裁者ギレン・ザビが演説中に語ったセリフです。

Large 20251102 001

拡大画像

第二次大戦終結直後、不要になりモスボールされる空母や巡洋艦などのアメリカ艦艇(画像:アメリカ海軍)

 実際、劇中では画面を埋め尽くすほどの地球連邦艦隊とMS(モビルスーツ)群が描かれ、地球連邦軍が物量でジオン軍を押しつぶす様子が表現されています。

「開戦時に新兵器・新戦術で圧倒的勝利」の後、「戦線の膠着」、そして「体制を立て直した側が圧倒的国力で反撃」という、『ガンダム』の一年戦争の流れは、現実の第二次世界大戦に類似しており、おそらく参考にされたと考えられます。

 これだけ圧倒的な軍事力を示した地球連邦軍ですが、年を追うごとに縮小していきます。一年戦争の4年後を描いたアニメ『機動戦士ガンダム0083』では、ジオン軍残党が「ガンダム試作2号機」による核攻撃で観艦式に参加した地球連邦艦隊に大打撃を与えていますが、この時点でソーラ・システムIIを展開した地球連邦艦隊主力は、ジオン軍デラーズ・フリートを圧倒する兵力でした。

 しかし、その3年後の『機動戦士Zガンダム』では、いかに内乱状態とはいえ、小艦隊同士の交戦が大半となり、さらに翌年の『機動戦士ガンダムZZ』では、一年戦争時のジオン軍より遥かに国力が低いはずの、宇宙要塞アクシズを擁するネオ・ジオン軍に対抗できず、降伏に近い内容の条約に合意しています。

 なぜ短期間でここまで地球連邦軍は弱体化してしまったのでしょうか。その理由を考察します。そもそも「戦争」自体が膨大な浪費行為です。

 例えば、第二次大戦中のアメリカは1945(昭和20)年に、GDP2268億ドルの36.6%にあたる830億ドルを軍事費に割いています。ピーク時の軍需産業の雇用者数は、就業人口の16.5%にあたる1100万人に達しました。

 一方大戦が終わり、朝鮮戦争がまだ始まっていない1949(昭和24)年には、GDP2,750億ドルの4.8%にあたる132億ドルを軍事費に割いています。軍需産業の雇用者数は、就業人口の1.2%にあたる73万人です。

 つまり、軍関係の雇用者が1027万人も減った一方で、GDPは482億ドルも増加したということです。

【画像】こんなデケぇ船大量生産したの!? これが、戦時中に作られたリバティ船です

1 2 3

コメント