ガンダム世界の「地球連邦軍」なぜ一年戦争後“超絶ザコ化”したのか? 現実にもあてはまる「仕方ない」状況とは?

ファーストガンダムでは圧倒的な軍事力を示した地球連邦軍、ただのその後のシリーズでは弱体化が目立ちます。なぜなのでしょうか。

結局軍需産業は儲からない?

 これは、軍関係の雇用は経済発展に寄与せず、国力が浪費されることを示します。大戦中、アメリカは「リバティ船」と呼ばれる規格型輸送船を2,710隻も建造しました。そしてリバティ船は1,700隻以上が終戦後に残されます。戦闘での喪失は235隻なので、実に750隻が解体されたわけです。

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切実な台所事情を語る技術者(イラストレーター:ハムシマ)

 そしてアメリカは1946(昭和21)年に「船舶売却法」を制定し、数年のうちに700隻以上のリバティ船を世界各国の商船会社に格安で売却。1960年代まで国際海運界で存在感を示しています。

 合わせて、軍備の大幅な縮小も図られています。代表的なのが戦艦の退役です。終戦時に建造から2~4年程度で、当時世界最高レベルの性能を持つノースカロライナ級戦艦やサウスダコタ級戦艦ですら、1947(昭和22)年に退役させています。そして、最新のアイオワ級戦艦でさえ、「ニュージャージー」と「ウィスコンシン」が1948(昭和23)年に、「アイオワ」が1949(昭和24)年に予備役になっているほどです。

 こうした現実の事例から推測すると、『ガンダム』の世界では、アメリカ以上の軍縮が徹底的に行われたことは想像に難くありません。一年戦争は「全人口の半数が死に至らしめられた」という、とてつもない被害を出した戦争だからです。

 さらに言えば、戦争を起こしたジオン公国は解体され、当面の敵勢力はジオン残党くらいしか反連邦武装勢力がいません。つまり巨大な軍事力を維持する理由が全くないとも言えます。おそらく戦時中に大量に建造されたコロンブス級輸送艦はリバティ船のように民間に払い下げられ、軍艦やMSも大量に破棄されたと考えられます。

 そうした時代に求められる軍備とは、「兵力自体は縮小するが、少ない兵力でジオン残党のあらゆる動きに対応できる、戦略機動力に優れた精鋭部隊」ということになるでしょう。『機動戦士ガンダム0083』に登場する各種の試作ガンダム、特に大推力を持つガンダム試作3号機「デンドロビウム」は、そうした発想だと思われます。

ただ、ここで登場した「ガンダム開発計画」の機体よりも、3~4年後に実用化された「ガンダムMk-II」の方が、明らかに予算規模が小さく見えます。

【画像】こんなデケぇ船大量生産したの!? これが、戦時中に作られたリバティ船です

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