いよいよ「水素エンジンの大型船」続々登場へ! “化石燃料へ回帰”でもむしろ安くなる? 国内3社で世界をリード
川崎重工業、ジャパンエンジンコーポレーション、ヤンマーパワーソリューションの3社が、舶用水素エンジンの陸上運転に成功しました。ゼロエミッション船の実現に向けた国産技術の大きな前進として注目されます。
2026年以降、実船が続々!
舶用水素エンジンの開発は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション(GI)基金事業である「次世代船舶の開発」プロジェクトの一環として行われています。コンソーシアムを組む3社は、共同出資会社「HyEng」を設立し、共同研究を行うことで商用化に向けたスピードアップを図りつつ、それぞれが得意とするエンジンで開発に取り組んでいます。そのため搭載する船種も、内航船から近海船、液化水素運搬船と多岐にわたります。
一番出力が大きいJ-ENGの2ストローク水素DFエンジンは、商船三井と商船三井ドライバルクが保有・運航管理し、尾道造船が開発・建造する1万7500重量トン型の多目的船に搭載されます。この船に関しては、2025年4月に建造契約を締結。J-ENGでは同年9月からフルスケールエンジンの組み立てを開始しており、2026年春ごろから陸上運転を行った後、2027年1月の出荷を予定しています。
J-ENGの川島 健社長は「当社は水素とアンモニアを中心に脱炭素燃料エンジンの開発を行っている。カーボンニュートラルに向けては間違いなくゼロエミッションを達成可能な技術のニーズが将来的に出てくると思う。私たちが世界に先駆けて実物を作り、世の中に披露していく」と説明しました。
ヤンマーPSは内航船や外航船の発電補機として、混焼タイプの中速DFエンジンと水素専焼の高速エンジンの2つを開発しています。中速エンジンは2025年度からフルスケールでの陸上実証を始めており、2028年度には上野トランステックの新造タンカー「輝光丸」に搭載して実船実証を行う予定です。
「現在、『輝光丸』では2つのプロジェクトがあり、2026年に行うのは高圧水素を用いた高速エンジンの発電機システムだ。2028年からは外航船も想定した、液化水素を燃料とした中速エンジンによる実証を予定している」(廣瀬 勝ヤンマーPS社長)
2025年10月に「水素燃料レディ」の電気推進タンカーとして引き渡された「輝光丸」の甲板上には、それぞれのシステムを構成する機器を詰め込んだコンテナ型のパッケージが設置できるようになっており、実証によって載せ替えることになります。





コメント