架線を撤去し山車通過 世界に認められる祭りを支える鉄道会社の心意気

ほかの路線でも架線撤去 守られた伝統が世界に認められる

 山車が通過する際に対策を講じる踏切はほかにもあります。名鉄河和線の半田口駅(愛知県半田市)近くや、同じく名鉄竹鼻線の羽島市役所前駅(岐阜県羽島市)付近などの踏切では、山車が通過する際に、竹はしごで架線を持ち上げて通しています。

 また、富山県高岡市を走る万葉線でも、「高岡御車山祭(みくるまやままつり)」の際に一部区間で運休して架線を取り外し、山車の引き回しに配慮しています。

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富山県高岡市街を走る万葉線の電車。この路線でも祭りの際、一部区間で架線が取り外される(写真出典:photolibrary)。

 このような山車を引き回す祭りでは、電線や架線は障害物になることもあります。明治以降、電線や路面電車の架線が街じゅうに張り巡らされていくなかで、山車の巡行を取りやめたり(東京の「神田祭」など)、山車を低くしたり(福岡の「博多祇園山笠」など)するところもあったそうです。

 そうしたなか、鉄道事業者も一丸となって守られてきた「秩父夜祭」や「高岡御車山祭」などは現在、18府県33件の祭りで構成される「山・鉾・屋台行事」の一部として、ユネスコ(国連教育科学文化機関)で無形文化遺産への登録が勧告されています。通例、勧告は尊重されるため、登録はほぼ確実とも。そんな祭りを支え、地域の伝統を守ってきた鉄道事業者、そして人々の心意気が存在しています。

【了】

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