70年ぶりに「潜水艦」導入へ!←「誰が乗る!?」 安全保障の切り札の「乗員どうするの問題」なぜ各国で直面?
タイ海軍が70年以上ぶりに潜水艦を導入します。しかし、計画は大幅に遅延。ようやく先が見えてきましたが、今度は、より深刻な問題が浮かび上がってきます。
70年ぶり潜水艦導入も…エンジン問題で二転三転
中国の造船企業である中国船舶工業集団(CSSC)が、2025年11月10日から14日までタイのバンコク近郊で開催された防衛・セキュリティ展示会「ディフェンス&セキュリティ2025」にて、タイ海軍が導入する通常動力攻撃型潜水艦「S26T」の模型を出展しました。
タイ海軍は前身のシャム王国海軍時代の1930年代に、日本からマッチャーヌ級4隻を導入していますが、1951年に4隻揃って退役して以降は、潜水艦を保有していませんでした。したがってS26Tはタイ海軍が70年以上ぶりに手にする潜水艦ということになります。
S26Tの導入計画は中国の提案によりスタートしたもので、2017年に3隻の建造契約を締結。2019年にはCSSCで1番艦が起工しました。
タイはS26Tにドイツ製のディーゼルエンジンの搭載を希望していましたが、ドイツはエンジンの輸出を拒否。このため中国政府とCSSCは中国製エンジンの搭載を提案しましたものの、タイ政府は「信頼性に懸念がある」との理由でこの提案を退けたため、S26Tの建造計画は凍結されてしまいました。
中国政府はタイ政府を納得させるため、1隻の無償譲渡を持ちかけたようですが、タイ政府は納得せず、中国製エンジンを搭載した場合の信頼性の保証を要求しました。このため中国政府は6000時間を超えるエンジンテストを実施すると共に、2470万アメリカドルを投じて整備支援と保証期間の延長を提案。これらの中国の措置に対してタイ政府の態度も軟化し、2025年9月にS26Tの導入計画を再開していました。
S26Tの1番艦の建造工程進捗率は60%程度と報じられており、これから建造を再開すると、引き渡しは当初予定の2023年から2028年末にずれ込む見込みとなっています。
当初の予定より大幅に遅れたものの、ようやく潜水艦を手にすることになりそうなタイ海軍ですが、S26Tの戦力化には、超えなければならない大きなハードルがあります。それは潜水艦乗員の養成と確保です。





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