空自C-2に激似!? 韓国で新たな軍用機プロジェクトを発見!「でもブラジル製に決めたはずじゃ…」メリットは?

韓国の航空機メーカーKAIが、新型輸送機「NGTA」のコンセプト案を発表しました。しかし、同国はブラジル製KC-390輸送機の導入を決めたはず。開発するメリットはあるのでしょうか。

輸送機の世界も差別化のマーケティングが必要?

 KAIのブースでは「NGTA」の派生型として次のようなモデルが紹介されていました。

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2022年9月に韓国で開催された「DX Korea」のKAIブースに展示されていた時のMC-Xのコンセプト模型(布留川 司撮影)。

 フライングブームやポッド式ドローグを装備した空中給油型。消火水散布機を装備した空中消火型。電子戦機材を搭載したスタンドオフジャマー型。レーダーを搭載した早期警戒型。対水上任務ようの機材を搭載した洋上哨戒型。対地火砲を搭載した地上攻撃用のガンシップ型。複数の無人機を搭載して空中から発進させる無人機キャリアー型などです。

 まだ実機も開発されていない機体で、ここまで構想を広げるというのも強気なように思えます。しかし、こういった派生型はエンブラエルのKC-390でも行われており、同機はすでに空中給油型の試験を行い、機内搭載用のメディカルモジュールを開発して救命患者輸送任務にも対応できるようにしています。また、今回の「ソウル ADEX 2025」では、ブラジル空軍との共同研究プロジェクトとして海洋哨戒機型のC-390 MPAも発表していました。

 現時点では「NGTA」は開発初期の構想段階にあり、実際に試作機の開発段階まで進むのかは未知数です。しかし、本計画にはUAE(アラブ首長国連邦)も興味を持っており、同国とは「多用途輸送機の共同開発」に関する覚書(MOU)を2023年に締結しています。

 ただ、これは正式な契約ではなく、機体自体の開発も本格的に始まっていないため、具体的にどのレベルで計画に参加するかは未定のようです。とはいえ、本格的な開発パートナーとなれば予算の分担や、輸出時の中東諸国に対する支援が期待できます。

 韓国では国産戦闘機としてKF-21を開発しましたが、国内産業の育成のために国産軍用輸送機の開発を望む声も一部に強くあるとか。そのため、予算や開発リスクなど多くの苦労が予想される本計画も、そうした声に後押しされて形になる可能性は十分あります。

 ひょっとしたら、案外早く「韓国初の国産輸送機」が実現する日は来るかもしれません。

【写真】これが韓国製輸送機「NGTA」の全景です! 派生モデルも

Writer:

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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