韓国初のオリジナル戦闘機「これ、ステルス機なんですか?」開発元を直撃! 傍らには発展型まで展示

韓国初の国産戦闘機KF-21「ポラメ」は一見するとF-35「ライトニングII」やF-22「ラプター」に似た形状をしています。実のところ、どこまでステルス性が付与されているのか、メーカー担当者を直撃しました。

ステルス機へのアップグレードも想定

 一般的に非ステルス機として開発された戦闘機を、後付け的な機能追加でステルス機に改良することはできません。しかし、KF-21は開発段階からROを考慮し、胴体下部には将来、ウェポンベイを追加することを考慮して、そのための空間的な余裕もあらかじめ設けていることから、それが技術的には容易だとKAI関係者は延べていました。

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デモンストレーション飛行中のKF-21の試作機。胴体下部には空対空ミサイルが搭載できる溝が見える。ブロックIIまでは兵器は機外に搭載する(布留川 司撮影)。

「ラファールやタイフーンは改良によって第4.5世代機になりましたが、KF-21は最初から第4.5世代機として開発されたため、第5世代への改良が容易です」(KAI関係者)

 現時点で韓国政府が正式に導入を決定したKF-21は、空対空戦闘能力のみのブロックIと、対地攻撃も可能なマルチロール型のブロックIIだけです。ステルス戦闘機となるブロックIII(最近ではKF-21EXとも呼ばれている)については、まだ正式な開発契約は結ばれていないため、2025年11月時点ではKAI社内での研究プロジェクトに留まっています。

 韓国空軍ではすでにF-35Aを導入しており、これから多額の予算と時間をかけて自国でステルス戦闘機を開発するのは合理的とは思えない側面もあります。ただ、ステルス機は維持するために多額の予算と人員が必要です。なお、F-35の運用コストは1時間あたり4万ドル(約625万円)とも言われており、さらにアメリカによる継続した支援が不可欠です。

 KAI関係者もF-35の高コストと稼働率の問題は懸念しており、仮にブロックIIIが配備された場合は、現在導入が進められているブロックIやブロックIIとの整備機材や訓練を共通化することができるため、それらは戦闘機の稼働率向上にも繋がると考えているそうです。

 そうしたメリットが韓国空軍、ひいては韓国国民に理解してもらえれば、KF-21ブロックIII(KF-21EX)は実現するかもしれません。

【写真】これが完全ステルス化したKF-21戦闘機です

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雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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