「日本一難しい空港、でも飛行機安全に降ろす」どうやって?→その裏側がスゴすぎる 「ここまでやるか!」な八丈島空港…でもなぜ?

「日本一着陸が難しい」と言われている「八丈島空港」。ここでは、どのように旅客機の安全を確保しているのでしょうか。実際に同空港で働くスタッフに話を聞いたところ、安全を確保すべく独自の対策を講じていました。

「日本一難しい空港」で講じられる独自対策とは

 担当者は「チャンス」という言葉の意味について、次のように話します。

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インタビューに応えた八丈島空港のスタッフ。一番左がANAの塩入康夫・八丈島空港所長(乗りものニュース編集部撮影)。

「一度、視界不良で着陸できずにゴーアラウンド(着陸やり直し)した場合、他の空港ならそのまま出発地へ引き返すことが多いです。しかし私たちはパイロットに『少しお待ちください』と伝え、着陸のチャンスを探ります。運航支援の担当者が実際に車で滑走路の端まで走り、自分の目で雲の動きや風の変化を10分ほど確認するのです。その情報をもとに、『あと15分後にアプローチ(着陸進入)してください』といった具体的な提案をします。これをやっているのは、全国でも私たちだけではないでしょうか」

 ただ、実はこの対応は「マニュアルにあるわけではありません」とも。そこまでする理由を担当者は次のように説明します。

「この飛行機を欠航させてしまうと、病院の予約に間に合わないお客様がいるかもしれない。安全は絶対ですが、20分待てば降りられるチャンスがあるなら、そのワンチャンスにかけたい。その一心で、毎日オペレーションにあたっています。八丈島はANAが就航する島の中では人口が少なく、規模が小さい分お客様の顔がよく見えます。行きつけのレストランのオーナーさんだったり、本当にご近所付き合いのような感覚です。だからこそ、安全運航に対しても『自分の身内が乗っている』」という感覚がより強く、一歩踏み込んでいる実感がありますね」

 2025年はANAの羽田~八丈島空港が就航して70周年。塩入所長は「『日本一難しい空港』と言われる中で、お客様が亡くなるような事故は70年間一度もありません」と話します。

「これは、先人たちが安全確保に対して非常に慎重だったからに他なりません。そして培われてきた知恵や安全への魂が、後世にちゃんと伝わっていると感じます。私もその良き習慣を変えるべきではないと思っていますし、目には見えない部分で皆が心に持っている安全への強い思いが、この70年間の無事故につながっているのだと確信しています」(塩入所長)

【写真】これが「日本一着陸が難しい空港への旅」の様子です

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