もはや超希少!東京から日帰りで乗れる「国鉄キハ40系」とは 大人でよかったと心底思える列車!?

JR東日本で貴重になった国鉄形ディーゼル車両ですが、東京から日帰りで乗れる方法があります。その観光列車の運行ルートには、JR東日本の戦略がありました。

最高すぎる酔い覚ましの「20分停車」

 新潟県の銘酒をお供に、国鉄形ディーゼル車両に揺られての旅路は実にぜいたくです。もちろん子どもも乗車できますが、日本酒ワールドの列車だけにこの日の乗客は杯を傾けている大人ばかりで、「飲酒をしても帰路につける」という鉄道ならではの醍醐味を満喫していました。

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2024年7月、青海川駅に停車中の「越乃Shu*Kura」(大塚圭一郎撮影)

 唯一残念だったのは、日没が早くなっていたため、沿線最大の見所となっている日本海の沿岸に差しかかると既に暗闇に包まれていたことです。

 車内放送で「皆様は日本で一番海に近い駅をご存じでしょうか。いくつか候補はありますが、間もなく到着いたします青海川駅もその一つとうたわれています」と流れましたが、17時15分の到着時には夜のとばりが降りた後でした。

 停車時間は20分近くあり、2024年7月の前回乗車時は目の前の海岸に押し寄せる波を目で追うことができました。今回は波が近づき、引いていくのを耳で確認するだけでしたが、「どうぞホームにて日本海の風、海の香りをご体感ください」という車内放送に“誇大広告”はありませんでした。

 日没が早い時期には、2号車に置いている地酒を乗務員が紹介すれば販売促進につながるのではないかと考えました。例えば「『越の誉』は、この青海川駅のある柏崎市のお酒です」などと伝えれば、利き酒の売れ行きがさらに伸びたかもしれません。

なぜ上越妙高発着?

「越乃Shu*Kura」は2014年の新潟デスティネーションキャンペーン(DC)に合わせて誕生し、3つの運行ルートとも、当初は信越本線(現・えちごトキめき鉄道)高田駅を発着していました。

 しかし、翌15年3月に北陸新幹線の長野~金沢間が延伸してからは、新幹線停車駅の上越妙高発着に変わりました。これは新幹線を利用した旅行を促す「着地型観光列車」にする狙いがあり、いずれのルートも上越新幹線停車駅の長岡に立ち寄るのもそのためです。

「吞み鉄」と「乗り鉄」の満喫にとどまらず、ディーゼルエンジンの重厚な音色を響かせて走る国鉄形ディーゼル車両のため「撮り鉄」と「音鉄」の意欲もかき立てる「越乃Shu*Kura」。“鉄分”豊富な味わい深い列車ができるだけ長く走り続けることを願っています。

【最高かよ…】これが超希少な「立ち飲みできるキハ48」の車内です!(写真)

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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