高規格道路とド並行になった「特急」勝ち目は…意外とある!? 今年で“昇格”30年 県都と県都を結ぶ

静岡~甲府を結ぶ特急「ふじかわ」。身延線唯一の優等列車として、準急「富士川」からの伝統を持つ列車です。しかし近年は身延線に並行して高規格道路が全通しています。「ふじかわ」の現状を探るべく、実際に乗車してみました。

ワイドビューの良さを堪能

 9時36分、身延に到着。3分間の停車で4人下車、2人乗車しました。列車交換した甲府行きの「ふじかわ1号」は乗車率40%ほどでした。9時53分、内船着。乗車1人でした。

 やがて車窓では富士川が寄り添うようになります。窓の大きいワイドビュー車両から眺める景色は雄大で、川を望む列車にしてはかなり上位の部類に入ります。トロッコ列車が似合いそうです。ただ、当日の富士山は雲がかかり、残念ながら見えませんでした。

 富士宮が近付くと建物が増えます。10時23分、富士宮着。30人ほどが乗車し、3両編成での人数を数えると77人でした。甲府出発時より増えています。富士まで30km以内、静岡まで50km以内で、特急利用が促進されているのでしょう。

 10時34分富士着。3分停車し、2人乗車、16人下車しました。ここで進行方向が変わります。

 富士~静岡間は乗車時間25分、最高速度110km/hで、表定速度は81.6km/hに達します。身延線の最高速度は85km/hで、制限速度45km/hの区間もあるなど、ゆっくりした走りでしたが、初めて特急らしい高速走行です。モーター音も高まります。

 速達性では高速道路に及びませんが、特急「ふじかわ」は区間利用客の需要に応えることで、健闘しているように感じられました。

【写真】「ふじかわ」の落ち着いた車内から見た富士川

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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