ナニコレ!? 「タイヤが多すぎるバス」なんでわざわざ“10輪駆動”に? その真の狙いとは

タイヤが10個も付いた小ぶりな電動バス「IKEBUS」が、東京・池袋を走っています。外観も内装も特徴的なこのバスは、どのように誕生したのでしょうか。

タイヤが10個もある理由

 タイヤが10個もある理由については、豊島区が次のように教えてくれました。

「車両への乗降をしやすくフラットな車内を実現するため、小径のタイヤに小型インホイールモーターという組み合わせとなっていて、モーター出力と車両重量の関係などから10輪駆動となっています。このため、座っていると歩行者と目線がほぼ変わらない車高であることから、街との一体感が生まれています。

 また、10輪駆動車という珍しい形状は、街なかでも人の目を引く存在となっています。電気バスの普及については、近年、環境面から普通のバスも含めて導入が広がっていますが、電気だけでなく水素も含めて広がってくると考えられます」

 13時5分、池袋駅西口を出発します。乗り心地は電車とバスの中間という感じで、走行音は小さく、横揺れがほとんどありません。加速はゆっくりで、幅の広い道路では車が追い抜いていきます。最高19km/hなのでそうなるのですが、「車が速度を出す幹線道路や広い交差点の右折を避ける運行ルートとし、朝ラッシュ時は避けていることや、エンジン音がないことを考慮して車両の接近を伝える装置を搭載するなどで、安全走行に努めています」(豊島区)とのことでした。

 運転手さんに話を聞くと「小回りはあまり利かないです」とのこと。13時9分、東京芸術劇場で早くも2人下車します。その後、13時22分着の豊島区役所で乗務員交代があり、13時26分着の東池袋駅で3人下車して、1人乗車します。乗車した女性客が都バスの1日乗車券を提示しましたが、運転手さんが「都バスの1日券やPASMO・Suicaは使えない」ことを丁寧に説明していました。

 13時29分にIKE・SUNPARK入口で5人下車、13時33分にサンシャインシティプリンスホテルで2人下車、1人乗車。13時35分にサンシャインシティ西で2人下車と次々に下車して、車内は空いてきました。そして、13時48分に池袋駅西口北で2人が乗車して、13時53分に終点の池袋駅西口中央で4人下車します。

 この日は、イベント「IKEBUSまつり2025~池袋に集うバスたちの休日~」が開催されていました。筆者はそのイベントへ移動。IKEBUS 3台とウィラーの高速バス「ReBorn」「空港シャトルバス」なども展示されていて、多くの来場客でにぎわっていました。

 3台のIKEBUSはそれぞれ内装が異なり、特に天井のデジタルサイネージには圧倒されました。池袋の新たな名物となっているIKEBUS。日常の癒しとして走り続けてほしいものです。

【内装いろいろ】外も中も黄色い「IKEBUS」を見る(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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