「進水式=完成じゃないです」→じゃあどれくらいの状態? 艦船の就役までのプロセスとは
進水式が終わったのになかなか船が就役しない。実は、進水式を終えただけではまだ船は完成していないのです。自衛隊の護衛艦を例に見てみましょう。
進水式の後は艤装を行う
進水式のあとに艦船を待つ工程は、完成させるために欠かせない装備を取り付ける「艤装(ぎそう)」です。ここで見た目も整い、海上自衛隊が運用する護衛艦にふさわしい防衛装備、通信装置、操舵機能などが付与されます。艤装は造船工程の最終段階に近い重要な作業で、この時点でも正式には「護衛艦」と呼ばれません。艤装中の責任者が民間の造船会社であるためです。
艤装を終えると「公試」に移ります。これは操舵装置、係船装置、航海計器、通信装置などが正常に作動するかどうかを確認するための試験です。艦内空間の設定や生活空間の整備もこの段階で行われます。
この頃、自衛隊から艤装員長が任命され、現場の指揮を執るようになります。艤装員長は後にその艦艇の初代艦長となるのが通例です。
就役が近づくと乗組員が選抜され、任務を行う艦艇としての体制が整います。そして造船所から艦艇の引き渡しが行われます。
こうして完成した艦艇は「竣工式」に臨みます。自衛隊では「引渡式・自衛艦旗授与式」と呼ばれ、民間造船所で建造された船が自衛隊に引き渡され、自衛艦旗を掲げた瞬間から護衛艦として竣工し、国際法上の「軍艦」として扱われます。
艤装員長として任務にあたっていた隊員は、多くの場合そのまま初代艦長に任命されます。自衛艦旗を受領すると、その旗を先頭に乗員が護衛艦に乗り込み、最後に艦長が乗艦して自衛艦旗を掲揚し、この時点で護衛艦は完成となるのです。
竣工式を終えた護衛艦は出航し、母港となる港へ向かいます。そして各地での任務にあたることになります。最近の護衛艦「もがみ」型の場合、起工から進水までが約1年〜1年半、進水から竣工までがさらに1年〜1年半かかります。
つまり、発注から実際の就役までを考えると5年以上かかることもあります。比較的小型の「もがみ」型でこの期間ですから、大型の護衛艦ではより多くの時間と労力が必要となるでしょう。護衛艦の完成には途方もない時間がかかるのです。
Writer: 凪破真名(歴史ライター・編集)
なぎはまな。歴史は古代から近現代まで広く深く。2019年現在はフリー編集者として、某雑誌の軍事部門で編集・ライティングの日々。趣味は自衛隊の基地・駐屯地めぐりとアナログゲーム。





海上自衛官である艤装員は、細かな艤装品の取り付け要領を造船所の職員と相談したり指示をしたり、或いは一緒に工事を手伝ったりしているのでしょうか。