アクアライン「6車線化」の真実! 橋は広がるがトンネルは? 海ほたるに眠る「第3の穴」の秘密
週末のたびに大渋滞するアクアライン。「車線が増えれば」と思ったことはありませんか。実は橋もトンネルも「6車線化」の準備は済んでいるといいます。物理的には可能なのに、なぜ実現しないのでしょうか。
線を引き直せば解決? それが無理なもっともな理由
わざわざ掘らなくても、既存のトンネルで6車線化できないのでしょうか。
確かにアクアトンネルは直径約14mという巨大な断面を持ち、車道の脇には広い路側帯があります。しかし、ここを車線に転用することは、安全上きわめて困難です。
この広い路側帯は、故障車が退避したり、火災などの緊急時に消防車や救急車が通行するための「命の道」です。これを削って車線にしてしまうと、万一の際に逃げ場がなくなり、大惨事になりかねません。
また「換気」の問題もあります。トンネル内の換気システムは現在の交通量を前提に設計されており、無理に車線を増やして排気ガスが増えれば、処理能力を超えてしまう恐れもあるのです。
今のトンネルをいじるのは危険。かといって、計画どおり「3本目のトンネル」を掘るとなれば、その工事費は数千億円規模に上ると予想されます。
さらに、仮にアクアライン本体を広げても、川崎側の出口である「浮島ジャンクション」が詰まってしまえば意味がありません。用地が限られ複雑に入り組んだ浮島JCTの拡幅は至難の業であり、ここが新たなボトルネックとなる可能性が高いのです。
かつて総事業費約1兆4400億円をかけて造られたアクアライン。その借金返済も続くなかで、さらなる巨額投資を行うのは現実的ではありません。
そこで現在、ハード(工事)ではなくソフト(制度)での解決策が進められています。それが「ロードプライシング(変動料金制)」です。混雑する時間帯の料金を上げ、空いている時間を安くすることで利用を分散させるこの取り組みは、一定の効果を上げています。
海ほたるに眠る「第3のトンネル」の入口。それはバブル期の夢の跡であると同時に、安全とコストの狭間で揺れる、現代のインフラ事情を物語っているのかもしれません。





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