警戒監視の空白なくせ! 絶海の孤島に配備される“巨大な筒”とは?「ミサイルじゃないからね」

中国空母「遼寧」の動きで露呈した、太平洋側の「警戒監視の空白域」。この危機に対応するため、空自は移動式警戒レーダーを離島に展開します。自走式レーダーサイト部隊の能力を解説します。

J/TPS-102Aが実現する「回転しない索敵」

 第2移動警戒隊の主要装備は「J/TPS-102A」という移動式3次元レーダー装置です。システムはアンテナ部である「空中線装置」、航跡データなどを処理する「監視処理装置」、そして電力を供給する「発電機」の3つで構成されています。

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第2移動警戒隊の自活車(柘植優介撮影)。

 空中線装置は、F-2戦闘機の機首レーダーなどにも採用されているフェーズド・アレイ方式のレーダーシステムを搭載しているのが特徴です。周囲に配置されたアンテナ素子から照射される電子ビームの走査方向を変えることで、アンテナを回転させなくとも全周索敵が可能です。

 第2移動警戒隊では、このJ/TPS-102Aをはじめとした各種車両を必要な場所に展開させ、地上から既存のレーダーサイトのバックアップを行います。なお、このバックアップは有事に限らず、常日頃から行われています。

 なぜなら、全国のレーダーサイトは定期的にメンテナンスが行われており、レーダーを停止させる際には、移動警戒隊のJ/TPS-102Aなどが展開して警戒網の穴をカバーする必要があるからです。

 ほかにも、レーダーシステムの更新やレドームの建て替え時にも派遣されます。長期間の展開に備え、移動警戒隊には水や電気、通信インフラがない場所でも自活できるよう、「自活車」と呼ばれる車両も配備されています。内部は寝台列車のようなつくりで、ベッド計6床のほか、シャワールームやトイレ、流し、冷蔵庫、エアコンなどを備えています。

【走行時と運用時で姿チェンジ!】移動式レーダー「J/TPS-102A」&衣食住を支える自活車の内部も(写真)

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