警戒監視の空白なくせ! 絶海の孤島に配備される“巨大な筒”とは?「ミサイルじゃないからね」

中国空母「遼寧」の動きで露呈した、太平洋側の「警戒監視の空白域」。この危機に対応するため、空自は移動式警戒レーダーを離島に展開します。自走式レーダーサイト部隊の能力を解説します。

北大東島だけでなく小笠原・父島にも計画

 また、移動警戒隊には、市販のトヨタ製SUV「ランドクルーザー」をベースにした「先導車」もあります。これは文字どおり、J/TPS-102Aなどの展開車両を先導するために用いられるクルマで、日常の連絡業務や人員輸送にも多用されます。

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第2移動警戒隊が装備するJ/TPS-102Aの監視処理装置(左奥)と発電機(右手前)。空中線装置と合わせ、この3台で1セット(柘植優介撮影)。

 ルーフ上部には衛星通信装置が装備されており、携帯電話や既存の無線が通じない場所においても通信を確保できるようになっています。

 防衛省では、すでに2025(令和7)年度補正予算で、北大東島への移動式警戒管制レーダー等の受入施設整備費用として約160億円を計上したほか、2026(令和8)年度予算の概算要求にも同じく受入施設整備費用として約144億円を盛り込んでいます。

 計画では、3年後の2028(令和10)年度に完成予定で、防衛省では、島の南北2か所、計8ヘクタールを取得し、業務並びに居住用の隊舎などを設置。約30名の隊員とともに移動式警戒レーダーや戦術データ交換システム、地上電波測定装置などを展開させるとしています。

 なお、防衛省は、この北大東島以外にも、太平洋側の「警戒監視の空白域」を埋めるため、小笠原諸島の父島にも移動警戒隊を配置する計画です。

 このような情勢を鑑みるに、「自走式レーダーサイト部隊」と形容できる移動警戒隊の重要性は、今後より一層増すことは間違いなさそうです。

【走行時と運用時で姿チェンジ!】移動式レーダー「J/TPS-102A」&衣食住を支える自活車の内部も(写真)

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