「安全のため」重すぎる設備、重すぎる人の負担――地方鉄道の“三重苦”を救う「シンプル化技術」の数々 あとは政策だけ?

赤字、設備の老朽化、そして人手不足に苦しむ地方の鉄道。その三重苦を技術が解決するかもしれません。重すぎる設備を軽くすることが、持続の糸口になりそうです。

重すぎる設備が経営を圧迫

赤字、設備老朽化、人手不足。日本の地方鉄道は三重苦に直面しています。社員数は1987(昭和62)年度から約3割減少し、近年は脱線事故や踏切事故も相次いでおり、安全の維持は重い課題です。

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無線式列車制御システムの長期試験を行い導入を予定する山形鉄道と廃止される信号機(山田和昭撮影)

2025年11月28日に幕張メッセで開催された鉄道技術展では、日本大学 鉄道工学リサーチ・センター副センター長の綱島均特任教授の企画構成によりシンポジウム「地方鉄道の未来を描く」が開催され、地方鉄道に希望をもたらす新技術が紹介されました。

地方鉄道は輸送量が少ない割に「コストが重い」ことが課題です。零細鉄道は大手バス事業の70分の1の輸送量にもかかわらず、厳格な鉄道安全基準が適用され、リスクや収入に比してコストが高くつきます。

その安全を担保するために、鉄道は複雑で重厚な設備を築いてきました。

鉄道は停止距離が長いため、1962(昭和37)年には赤信号を見落とした貨物列車が電車に衝突した悲惨な「三河島事故」(常磐線)も発生しました。そのため国鉄全線にATS(自動列車装置)が設置され、さらには赤信号までの距離と車両性能に応じてブレーキをかける限界を計算(パターン発生)し列車を確実に停止させるATS-Pも開発されました。

列車の衝突を防ぐ閉塞の考え方に基づき、運行区間を区切り、列車を検知する軌道回路や継電器(リレー)を複雑に組み合わせた回路で連動装置の論理(ロジック)を構成します。継電器の回路を電子化した電子連動装置も開発されましたが、論理が複雑な上にコード(プログラム)は絶対に間違いが許されず、保守や改修が大変難しくなりました。さらに、路線全線に引きまわされる長大な通信ケーブル類の維持管理も大きな負担です。

踏切一つをとっても、軌道回路、制御器、警報器、遮断機、ケーブル、バッテリーなど、露天で何十年も故障無く動作し続ける信頼性が要求されます。そのため、機器は重く頑丈で高価であり、設置や保守に多額の費用と人手がかかります。その結果、地方鉄道では遮断機や警報機が無い「第4種踏切」が多く残され、事故のリスクを高めています。

【え…!】これがケーブルも信号機も無くす「超シンプル運行システム」です!(画像)

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